2022-03-26

【中嶋憲武✕西原天気の音楽千夜一夜】プロコル・ハルム「Salty Dog」

【中嶋憲武✕西原天気の音楽千夜一夜】
プロコル・ハルム「Salty Dog」


天気●プロコル・ハルムのゲイリー・ブルッカーがこの2月19日、76歳で亡くなったのでした。それで、プロコル・ハルム「Salty Dog」(1969年)を。


 

天気●プロコル・ハルムといえば、デビュー曲「青い影 A Whiter Shade of Pale」(1967年)が圧倒的に有名なんですが、3枚目のアルバム「Salty Dog」が好きで、かなり繰り返し聴いていました。

憲武●このアルバムは、ジャケットが細野晴臣のセカンドソロ・アルバム「トロピカル・ダンディ」(1975)でパロディとして取り入れてますね。またレコーディングが1969年のアビイ・ロードスタジオということで、ビートルズの「アビイ・ロード」のレコーディングと同時期だったんで、ビートルズのメンバーと出会ったりなんてことが、あったかもしれないというワクワクする想像と、こういう二つの点で強く記憶に残ってるアルバムです。

天気●そういうエピソードがあるのですね。初めて知りました。この動画、スタジオ録音のオリジナル音源にライブ映像を組み合わせていて、どうせなら、「動いているプロコル・ハルム」のほうがいいだろうということで選びました。

憲武●ロックバンドという感じですよね。大ヒット曲があると、どうしてもその曲のイメージで見られてしまいがちで、イージー・リスニングのグループ、または個人と思われている人も少なくないかと思います。

天気●カモメ(?)の鳴き声から弦楽アンサンブルのイントロ、ピアノが入って、Aメロ。ドラムその他のバンド・サウンドが加わって曲が盛り上がるという、安心感のある構成。最初の効果音と曲タイトルのせいで、行ったこともないイギリスの曇った港町へと持っていかれます。

憲武●残念なことにラストのカモメ(?)の鳴き声が途切れてしまってますが。

天気●この曲のイントロの弦楽器、世界的ヒットの「青い影」のバッハ風オルガンなど、クラシック音楽要素の強いバンドでした。オーケストラとの共演ライブもあって、これは、あんまり憶えてないのですが、つまらなくもなかったような気がします。

憲武●なるほど。オーケストラとの共演といえば、ディープ・パープルとロイヤル・フィルハーモニック・オーケストラのアルバムなどもありましたね。

天気●バンドとしては、1967年のデビューからゲイリー・ブルッカーがなくなる今年まで、メンバーは変わりつつも、じつに55年も続いたわけですが、一般には、デビュー曲「青い影」くらいしか知られていない気がします。最近のアルバムを聴いてみようかな、って思ってます。 


(最終回まで、あと768夜)

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