【中嶋憲武✕西原天気の音楽千夜一夜】
マーヴィン・ゲイ「Come Get to This」
天気●絶対一度は取り上げておかなくちゃな、ということで、マーヴィン・ゲイです。
天気●「What's Going On」(1971年)が圧倒的に有名ですかね。曲もアルバムも。ほかにも名曲・名唱が多いのですが、一番好きな「Come Get to This」(1973年)を選びました。
憲武●キャリアの長い人ですが、この頃のマーヴィン・ゲイが好きですね。ダイアナ・ロスとデュエットアルバム作ったり。
天気●動いてるのがいいので、TV番組「ソウル・トレイン」のこの動画にしましたが、大丈夫、例によってクチパクですから、スタジオヴァージョンが聴けます。
憲武●はい、ばっちりクチパクでした。それにしてもいつもながら派手なセットです。
天気●サキソフォンとヴォーカル・コーラスの掛け合いから、コンガが入って、シャッフルのリズムへ。途中、二拍三連のキメがあったり。
憲武●マーヴィン・ゲイ節ですね。バックのコーラスに泣いてしまう感じですね。
天気●メロディアスなようでいて(曲調はブラック演歌ともいうべき)、ビート感で聴かせるところが、良いです。
憲武●このアルバムは私小説のような味わいがあります。全編、愛とか性愛をテーマにしてるんですが、やはり洋の東西を問わず演歌っぽくなるんでしょうか。
天気●ちなみに、この曲、ナンシー・ウィルソンのカヴァーも最高です。マーヴィン・ゲイの、こってりとシチューのような歌唱とはちがって、高級なフルーツサラダのような(食べたことないけど)上品な味わいです。あと、ベースラインも必聴です。
憲武●このさらりとした歌唱もいいですね。
天気●いいですよね。マーヴィン・ゲイには裏メロでサキソフォンがねっとり絡み、ナンシー・ウィルソンはミュート・トランペットが抑制をきかせて絡む。どちらもよく出来た伴奏です。
憲武●知らなかったんですが、ナンシー・ウィルソンは1975年に「Come Get To This」というアルバムを出していたんですね。
天気●名盤ですよ。この人、ジャズ風味のアルバムが多いのですが、これはソウル曲のカヴァー集として秀逸。オリジナルとナンシー・ウィルソン、どっちを取り上げてもよかったんですが……。とにかく、いい曲は、いろいろな人にカヴァーをしてほしいなあ、と。カラオケじゃなくて、アレンジ込みのカヴァーをね。
(最終回まで、あと766夜)
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