2022-05-08

後記+プロフィール785

後記 ◆ 福田若之

打楽器、管楽器、弦楽器というと、なんだか、この順に本能に近いところから遠いところへ並んでいる気がするけれど、こういう予断をこそ疑ってかかったほうがよいのでしょう。

ひとが、あるリズムを気持ちよく感じるということは、まったく自然なことではない、としてみる。これもまた歴史的なことにすぎないのだと、考えてみること。それだけで、俳句も、とたんに気持ちの悪いものになってくれるわけです。
 
あるものを、そういうものとしてやりすごすための考えと、そういうものの謎を問うための考えを、区別しておかないといけないのだと思う。そういうものとしてやりすごすための教育と、そういうものの謎を問うための教育もまた。僕たちは、しばしば、あるものをやりすごすことを考え、教えることに傾きがちで、だけど、本気になったときに大事なのは、そのものを謎として問うことを考え、謎を問うことを教えることだ、と、なんとなく信じている。それが正しいかどうかも、ちゃんとはわからないまま。
 
びりびりするね。
 

それではまた、次の日曜日にお会いしましょう。


no.785/2022-5-8 profile 
 
■山口優夢 やまぐち・ゆうむ
1985年、東京生まれ。東大・早稲田など東京の学生俳句サークルやTHCなどの超結社句会に参加。第六回俳句甲子園団体優勝・個人 最優秀賞。第二回龍谷大学青春俳句大賞大学生部門最優秀賞。第四回鬼貫青春俳句大賞優秀賞。好きな惑星は火星。2008年12月より銀化所属。アンソロジー『新撰21』(2009)に参加。2010年第56回角川俳句賞受賞。ブログ「そらはなないろ」 

■小川楓子 おがわ・ふうこ   
1983年生まれ。「舞」会員。終刊までの十年間「海程」所属。 
 
■宮本佳世乃 みやもと・かよの
1974年生まれ。「炎環」「豆の木」「オルガン」に所属。第35回現代俳句新人賞。句集に2012年『鳥飛ぶ仕組み』、2019年『三〇一号室』。
 
■対中いずみ たいなか・いずみ
1956年生まれ。田中裕明に師事。第20回俳句研究賞受賞。句集に『冬菫』『巣箱』『水瓶』(第68回滋賀文学祭文芸出版賞、第7回星野立子賞)。「静かな場所」代表、「秋草」会員。
 
■中嶋憲武 なかじま・のりたけ 
1960年生まれ。「炎環」「豆の木」2013年週俳eブックス「日曜のサンデー」2018年 第四回攝津幸彦記念賞・優秀賞受賞。2019年 第0句集「祝日たちのために(港の人)」山岸由佳とのコラボレーションによるwebサイト「とれもろ」https://toremoro.sakura.ne.jp
 
■西原天気 さいばら・てんき1955年生まれ。句集に『人名句集チャーリーさん』(2005年・私家版)、『けむり』(2011年10月・西田書店)。笠井亞子と『はがきハイク』を不定期刊行。ブログ「俳句的日常」 twitter

福田若之 ふくだ・わかゆき
1991年東京生まれ。「群青」、「オルガン」に参加。第1句集、『自生地』(東京四季出版、2017年)にて第6回与謝蕪村賞新人賞受賞。第2句集、『二つ折りにされた二枚の紙と二つの留め金からなる一冊の蝶』(私家版、2017年)。共著に『俳コレ』(邑書林、2011年)。

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