【中嶋憲武✕西原天気の音楽千夜一夜】
小坂忠「しらけちまうぜ」
天気●小坂忠が4月29日に亡くなりました。73歳。私が聴いていたのは、アルバム「ありがとう(1971年)の直後と「HORO / ほうろう」(1975年)の直後と短いのですが、「HORO / ほうろう」の音がカッコよくて、当時、ちょっと衝撃的でした。そのなかから、「しらけちまうぜ」を。
天気●全体にソウル、R&Bの美味しさの詰まったアルバムで、粘っこい1曲目「ほうろう」ほか、いいのがいっぱいあるんですが、最もノーザン・ソウルっぽく、最もシングルカットっぽいこの曲を選びました。
憲武●えー、門間雄介による「細野晴臣と彼らの時代(文藝春秋 2020)」によりますと、「小坂はその後、細野がプロデュースを手がけ、キャラメル・ママーそのころにはティン・パン・アレーに改称していたーの面々が参加したソロ・アルバム『HORO』において、ソウルフルな自身の歌唱スタイルを確立した」とあります。
天気●あらためて聴いてみて、この人、声が、すごくいい。声って大事です。楽器でいえば、音色だから。修練のきかない部分。
憲武●素人考えなんですが、ボーカリストは声がいいことには越したことがないと思います。小坂忠はミュージカル「ヘアー」のオーディションにも通ってるんですよね。
天気●50年近く前とういうのを考えると、このアルバム、アレンジや演奏、そして歌唱も、ちょっと驚きです。
(最終回まで、あと762夜)
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