2022-05-15

【中嶋憲武✕西原天気の音楽千夜一夜】バングルス「In Your Room」

【中嶋憲武✕西原天気の音楽千夜一夜】
バングルス「In Your Room」


憲武●ガールズバンドって、とかくとやかく言われがちですが、ぼくは好きなんです。という訳でバングルス「In Your Room」。

 

憲武●1988年リリース、アルバム「エブリシング」の一曲めで邦題は「恋の手ほどき」です。

天気●ぜんぜん知らないバンド、知らない曲ですわ。ヴォーカル、かわいいね。

憲武●ええ、可愛いんです。知らなかったですか?「エジプト人のように歩こう」とか、知らないすか?「マニック・マンデー」という曲がヒットした当時は、プリンスが書いた曲ということもあって、ヴァニティ6などのように、プリンス傘下のバンドなのかなと思ってたんです。

天気●音的にはちょっと違うかも。

憲武●そうなんですけどね。バングルスの曲をいろいろ聴いて、ヒットした中では特にこの「In Your Room」はビートルズテイストを感じました。曲は全然ビートルズっぽくないんですが、ベースの鳴り方とかコーラスがビートルズっぽくて。ラストはなぜかアラビックになっていきますし。あとスザンナ・ホフスのリッケンバッカーですね。

天気●きほんシンプルなエイトビートで、途中、アラビックというかサイケになって、映像もそれに合わせて変わる。わかりやすい。

憲武●「In Your Room」って曲の内容は、スザンナ・ホフスと、ベースの元ランナウェイズのマイケル・スティールが同性愛を演出してるようにみえて、レズビアンの歌詞だと思ってたんです。でも歌詞を見てみると2連めに「I'll teach you everything that a boy should know」とあって、男の子を誘惑する内容だったんですね。フツーに。

天気●ウブな男の子を悩殺するってかんじが、バンド自体のコンセプトなんでしょうね。

憲武●スザンナ・ホフス、いいですね。ソロ・アルバムも持ってたと思いますが、どこに行っちゃったのか見当たりません。一度解散してますが、スザンナ・ホフスに対する他のメンバーの嫉妬が原因だったようです。今はみんな仲良くやっているようです。よかったよかった(のいるこいるふうに)。

天気●みたいですね。この人たち、演奏はするんだろうか、どのくらいできるんだろうか、と、ふと思いまして、ライヴを探すと、2019年のが見つかりました。メンバーは1960年前後の生まれですから、60歳くらい。いい感じに貫禄が付いて(ベースとドラムは横幅が付いて)、味わい深いです。ボーカルは、変わらずリッケンバッカー。こだわりがあるんでしょうね。

憲武●ベースは何年か前にオリジナル・メンバーのアネット・ジリンスカスに代わっています。このライブの中でスザンナ・ホフスが言ってるんですけど、1981年にLAのフリーペーパーで「ビートルズのようなバンドを作ろう!」というメンバー募集に応じて、ドラムとギターのデビー・ピーターソン、ヴィッキー・ピーターソン姉妹が応じてきたと。世界に五万とビートルズを目指してバンド結成する若者たちの中で、成功した希少な人たちです。ライブのラストは亀裂の原因となった曲「エターナル・フレーム」で締めて、みんな楽しそうで、ほんとによかったよかった(のいるこいるふうに)。


(最終回まで、あと761夜)

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