【空へゆく階段】№73 解題
対中いずみ
「晨」39号(1990年9月号)掲載。本号には発表作はない。
ちなみに、俳句のアンソロジーということでは、1990年2月に発行された『秀句三五〇選18 数』(蝸牛社)を田中裕明が担当している。「数」をテーマに、秀句350句を選び、簡単な解説を付している。本稿なども、この仕事のなかで考えたことが記されているだろう。
孔子一行衣服で赭い梨を拭き 飯島晴子
彼一語我一語秋深みかも 高浜虚子
青写真天使一群冷えてゐる 四ッ谷龍
柚子湯沁む無数の傷のあるごとく 岡本 眸
ほととぎすすでに遺児めく二人子よ 石田波郷
十二人こはかつたのとコーラ飲む 冬野 虹
いつからの一匹なるや水馬 右城暮石
風花の一しきりともいへず熄む 後藤夜半
一条の光や蜂となりて過ぐ 正木浩一
餓鬼忌から十日餘やこの半世紀や 竹中 宏
などおもしろい句が収録されている。
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