2022-06-05

対中いずみ【空へゆく階段】№73 解題

【空へゆく階段】№73 解題

対中いずみ


「晨」39号(1990年9月号)掲載。本号には発表作はない。

ちなみに、俳句のアンソロジーということでは、1990年2月に発行された『秀句三五〇選18 数』(蝸牛社)を田中裕明が担当している。「数」をテーマに、秀句350句を選び、簡単な解説を付している。本稿なども、この仕事のなかで考えたことが記されているだろう。

孔子一行衣服で赭い梨を拭き  飯島晴子

彼一語我一語秋深みかも  高浜虚子

青写真天使一群冷えてゐる  四ッ谷龍

柚子湯沁む無数の傷のあるごとく  岡本 眸

ほととぎすすでに遺児めく二人子よ  石田波郷

十二人こはかつたのとコーラ飲む  冬野 虹

いつからの一匹なるや水馬  右城暮石

風花の一しきりともいへず熄む  後藤夜半

一条の光や蜂となりて過ぐ  正木浩一

餓鬼忌から十日餘やこの半世紀や  竹中 宏

などおもしろい句が収録されている。

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