2022-07-03

りん句る100・その1 鈴木茂雄+野間幸恵

りん句る100・その1

鈴木茂雄野間幸恵


1 浮き輪してたつた一人の海となる   S-suzuki

2 如何せん木を伐る人の輪郭で   N-noma

3 浮いてこい何もせんから浮いてこい   S

4 誰何してかさねる時の重さかな  N

5 誰かれの後日譚より夏落葉   S

6 石ぬれて前方後円墳となる   N

7 夏休み友は石井桃子です   S    

8 繰りごとのために小さな井戸がある   N

9 ももくりの手練手管を柿八年   S

10 手羽先や痩せても枯れても父である   N

11 背の君は切羽詰まつてディスタンス   S

12 さみしさをまてりあるして詰めてある   N

13 三島忌のリアルな腕の形かな   S

14 葉脈の矢継ぎばやなるミシシッピ   N

15 夏時間トム・ソーヤーの早さかな   S

16 滑舌が悪くてボブは早退す   N

17 ボブ・ディラン的に夏ゆく血のわだち   S

18 A型の血液で聞く蝉時雨   N

19 びーどろのぽぴんと雨月物語   S

20 どろんこの後だしじゃんけん夕焼ける   N

21 助手席に忘られてゐし論語かな   S

22 金魚から左右を変えて席に着く   N

23 夕焼け小焼け席替えの少年萌ゆ   S

24 パピルス萌える八角形の成熟   N

25 死角よりばらばら薔薇園の四角   S

26 無表情な時間を止めるバラの棘   N

27 円錐の表面積に音がない   S

28 飛行機のあとは無人のフラココが   N

29 絵本から飛び出す森の鯨かな   S

30 レグホンは白が駆けだすポエムです   N

31 白黒をつける天井桟敷かな   S

32 天気雨だから人差し指にする   N

33 ユートピアなのに天使が見当たらぬ   S

34 どこまでが日本語なのかピアニスト   N

35 英語ではダウンタウンな星月夜   S

36 曲がるより曲がれおりびん物語   N

37 底抜けの紆余曲折をサングラス   S

38 淡白にDNAを持て余す   N

39 老人の余白ひろがる蝉しぐれ   S

40 感嘆符の先から黒い白鳥   N

41 片道の切符はルール違反だろう   S

42  Rule から孵化する記号 kuritorisu   N

43 ポケモンGO竹篦返しを夜がする   S

44 耳鳴りの安土桃山もんもんと   N

45 なにはともあれノアの方舟ログインす   S

46 バランスや長生きのあと箱洗う   N

47 虹のあとしつぽがひとつ落ちている   S

48 海月らが光にかわる落下かな   N 

49 かがやいてゐる海女たちの急斜面   S

50 面積を奏でて枯葉散るばかり   N

51 葉桜や運転経歴証明書   S

52 ガンジスに遅れ岩波書店かな   N

53 ガンジーの如くに歩くベジタリアン   S

54 反り返る二足歩行になってから   N

55 反則のバジルバジリコまみれかな   S

56 疑問符に則れば僕でない僕   N

57 たらればやばれたら赤い唐辛子   S

58 吊り橋で縺れるなんて子供だね   N

59 あるまじき遺伝子とばすやませかな   S

60 アルマジロ話し言葉は「ね」で終わる   N

61 終りから始まる淋しい裏表紙   S

62 いろいろは出雲へつづく紙風船   N

63 夕焼けを組み立ててゐる難破船   S

64 重力を 疑っているシュークリーム   N

65 遠近はとてもシュールな秋である   S 

66 ソの音にラの音とてもト音記号   N

67 街道いつも秋風の音がする   S

68 街路樹の濡れた点滅ピエロ来る   N

69 闇が来て夕顔の実を垂らしけり   S

70 事実など羊羹ほどに薄く切る   N

71 すすき野は白い午後へと記号する   S

72 暗記してメソポタミアを涙して   N

73 暗室は紫色を抱いてゐる   S 

74 字あまりのアイネクライネ愛の詩   N

75 夭折の詩人の文字や蝉の声   S

76 文字盤のない時計のアンビバレント   N

77 漆黒のレコード盤は流石です   S

78 流行のドルガバだから雑詠に   N

79 雑魚寝して波打ち際が消えてゆく   S 

80 その時は直感めいて川魚   N

81 不時着の吉凶まとひ一人なり   S 

82 草原や成吉思汗に会釈して   N

83 青空に靴下を履く秋思かな    S

84 ハイエナが降りくる夢の青信号   N

85 号泣はサザンの海を読んでいる   S

86 母はもう誤読のように晴れわたる   N

87 サフランや母という字は舟に似て   S

88 カルピスの裏は表の疑似恋愛   N

89 青い恋しばらく歪む時間かな   S

90 月青く同音異語の「こうしょう」   N

91 ネジを巻く星月夜なるメカニズム   S

92 夜更けてはアンドゥトロワのリズムから   N

93 生身魂更新ボタン押しにけり   S

94 背泳のかなた等身大の鐘   N

95 惑星に i と背高泡立草   S

96 唐草や moon walk は思考する   N

97 ギリシャ語の青き思ひのパラサイト   S

98 ぎりぎりと黒猫よりも少し薔薇   N 

99 流星といふ一瞬の向かふ傷   S

100 すれ違ういつもと違う向日葵と  N


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