【中嶋憲武✕西原天気の音楽千夜一夜】
高橋幸宏「Bijin-Kyoushi At The Swimming school」
憲武●夏ってえと、ギターサウンドでしょうか。やはり。ベンチャーズに代表されるようなインストものなんぞ、ちょいと聴いてみたいです。という訳で、高橋幸宏「Bijin-Kyoushi At The Swimming school」。
憲武●この曲は「音楽殺人」(1980)というアルバムに収録されています。アルバム全体的にバグルスを意識したサウンドになってます。
天気●バグルスのシングル「Video Killed the Radio Star」は、この前年、1979年。アルバム「The Age of Plastic」は同じ1980年ですね。
憲武●このアルバムが発売された時期って、夏でしたのでアルバムのイメージが夏なんですよね。僕は。大村憲司のギターが「春がいっぱい」と言いますか、シャドウズと言いますか、トレモロで音色が揺れてるところなんか、プールサイドにいる気分で、屋外のプールでは、ギターがこういう風に聴こえてたなあと、回想モードのおもいでの夏です。
天気●高橋幸宏は、このアルバムだけ持ってました。あと、鈴木慶一とのコラボ(?)の「出口主義」っていうアルバム。こちらはもうほとんど憶えていませんが、今回の「Bijin-Kyoushi At The Swimming school」って曲は当時からそうとう好きで、個人的なコンピレーションによく使ってました。
憲武●そうだったんですか。冒頭でベンチャーズと口走ってしまったんですが、この曲はベンチャーズに提供した曲なので、言わばセルフカバーですね。
天気●おお、それ初耳。ベンチャーズはひつこく日本と関わってますね。
憲武●そうなんです。加藤和彦プロデュースの「カメレオン」(1980)というアルバムで、「スイミング・スクールの美人教師」という邦題が付いてます。高橋幸宏はドラマーですが、この曲ではドラムを叩いてなかったかと。松武秀樹がモーグ・Ⅲ・Cで合成したものだったと記憶してます。
天気●へえ、てっきり叩いてるんだと思ってました。
憲武●79年から80年頃って、新しいものがどんどん出て来て、ワクワクするような時代でしたね。高橋幸宏もこの頃が一番ノッてたんじゃないでしょうか。いわゆるフーマンチュー唱法を自分のものとして、ヴォーカルも次々に取り入れてた頃ですからね。数ある高橋幸宏のソロアルバムの中で、このアルバムが一番好きです。
天気●フーマンチュー唱法! そんな命名があったんですね。
憲武●イエロー・マジック・オーケストラの「中国女」での歌唱を、細野晴臣がそう名付けたんだったと思います。高橋幸宏は、2年前に脳腫瘍を取ってしまってから、体調が良くないようで、ツイッターを見ても最近の書き込みが全くなく、軽井沢で療養してるようで心配です。全快をお祈りしてます。
(最終回まで、あと749夜)
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