【空へゆく階段】№77 解題
対中いずみ
「晨」63号(1994年9月号)掲載。田中裕明はこういう評をときおり担当したが、年上の同人の作品評は少し骨が折れたことだろう。今号の発表作品10句。
夏潮の軍港へ寄せ来りけり
その人の名の研究所涼しけれ
毛虫焼く先生のまだこはきこと
子の髪に露の螢をたまはりぬ
赤坊を抱きて端居といふことを
老母とは大緑蔭にいつもゐて
御手洗にそろへてありし登山靴
盆近き犬山城を掃きにけり
手を浸すこよひ鵜舟を流す川
鮎吐かす鵜匠の顔の幼なけれ
≫田中裕明 特別作品評(第六十二号より)
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