2022-11-27

後記+プロフィール814

後記 ◆ 西原天気


人間とは? という問いに向かって、がんばって答えを見つけようとしても、これはなかなか難しい。内包だろうが外延だろうが、演繹だろうが帰納だろうが、道は険しい(と思う)。

そこで、ちょっと気分を変えて、人間と違うもの、人間に近く境界を接して入るような存在をもってくると、ヒントがぼんやりと見えてくるかもしれない。「それ、人間みたいだけど、人間とは違うよね、どこが違うんだろう?」てな調子。この接近法も簡単じゃないでしょうが、一手ではある。

だから、ロボットとかAIのつくる俳句のことをじっくり考えてみると、「俳句をつくる人」のことが、すこしわかったりするかもしれませんよ。

ところで、こういう話題って、先端的な情報科学(?)としては実用的でリアルな研究対象なんでしょうが、物語/ファンタジーとしては、とても古くて歴史的。チャペックの『R.U.R.』は1920年、手塚治虫のアトムは1951年。

で、最近だと、カズオ・イシグロ『クララとお日さま』。AI研究者は必読(と勝手に思ってる)。俳人は、必読とは思わないけど、オススメ。興味のある方はぜひ。

この号には「柳俳合同誌上句会2022」の結果発表もあります。コメントが豊か。いろいろな箇所で、いろいろ愉しめます。で、「柳俳」も、さっき話した「近く境界を接している」。そう言えなくもない。

(とはいえ、私自身は、川柳と俳句の境界とか、あまり関心はないんです。つまり、どっちでもいいや、どっちも「ほぼ17音」でしょう? という接し方)


寒くなってきました。サッカーワールドカップのコスタリカ戦の結末が気になる方も、そうじゃない方も、お身体に気をつけて。

それではまた、次の日曜日にお会いしましょう。


no.814/2022-11-27 profile

柳俳合同誌上句会・参加者のプロフィールは当該ページ・末尾に。

■藤田哲史 ふじた・さとし
昭和62年三重県生
高等学校1年時に作句開始。
東大学生俳句会、俳句結社「澤」を経て、現在無所属。

■クズウジュンイチ
1969年群馬生まれ。NPO法人主宰。

■小津夜景 おづ・やけい
1973年生まれ。句集『フラワーズ・カンフー』(2016)文集『カモメの日の読書 漢詩と暮らす』(2018)『漢詩の手帖 いつかたこぶねになる日』(2020)。

■佐藤知春 さとう・ちはる
2003年三重県生まれ。2017年より句作開始。「楽園」所属。東大俳句会共同幹事。

■大塚凱 おおつか・がい
1995年千葉生まれ。「ねじまわし」を発行。イベントユニット「真空社」社員。第7回石田波郷新人賞、第2回円錐新鋭作品賞夢前賞。

平山雄一 ひらやま・ゆういち
1953年生まれ。1987年より、吉田鴻司に師事。2003年、 第一句集『天の扉』を上梓。2006年より、超結社句会“わらがみ句会”代表。結社誌『鴻』で俳句エッセイ「ON THE STREET」を連載中。ロックやコミックスなどのポップカルチャーと、俳句の共通点を探求している。 公式Web OPEN http://www.yuichihirayama.jp 公式Facebookページ https://www.facebook.com/yuichihirayama.jp/

■三島ゆかり みしま・ゆかり
俳人。1994年より作句。http://misimisi2.blogspot.com/ 

■中嶋憲武 なかじま・のりたけ
1960年生まれ。「炎環」「豆の木」。2013年週俳eブックス「日曜のサンデー」。2018年 第四回攝津幸彦記念賞・優秀賞受賞。2019年、第0句集「祝日たちのために」(港の人)。山岸由佳とのコラボレーションによるwebサイト「とれもろ」
https://toremoro.sakura.ne.jp

■西原天気 さいばら・てんき
1955年生まれ。句集に『人名句集チャーリーさん』(2005年・私家版)、『けむり』(2011年10月・西田書店)。笠井亞子と『はがきハイク』を不定期刊行。ブログ「俳句的日常

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