【中嶋憲武✕西原天気の音楽千夜一夜】
田辺靖雄と梓みちよ「いつもの小道で」
憲武●歌謡曲特集第三弾です。この曲、つい最近まで「二人のデイト」というタイトルで記憶してまして、YouTubeで検索するとベイシティ・ローラーズが出てきてしまって、変だな、と思ってたんですが、正しくは「いつもの小道で」で、田辺靖雄と梓みちよです。
憲武●1963年11月リリースの曲で、作詞が永六輔、作曲が中村八大です。いわゆる六八コンビですね。歌詞がストーリー仕立てになってて、最後は切なくなってしまいます。
天気●道ですれ違うだけ? 視線を交わして? でも、手がちょっと触れ合ったりするんだ。ほんと狭い道。なんか、状況がわからないんですが、若者ふたりの、もや~とした性欲は伝わりました。
憲武●性欲っすか。
天気●では、ロマンチックなリビドーと言い換えましょう。
憲武●ロマンティックなリビドー。なんかこう、タイトルになりそうですね。手元にある「中村八大作品集 上を向いて歩こう」のライナーノーツによると、NHKの「夢であいましょう」というバラエティ番組の中で、今月の歌として歌われた曲で、1962年の8月の歌として歌われたそうです。番組の中では、田辺靖雄やジャニーズによって歌われたと書いてあります。
天気●男の子だけで歌ったのかな? 聴くと、いかにもでデュエットらしい曲ですが。
憲武●僕もその辺がどうなってたのか、よくわからないんですよ。男子だけで歌われていたものかどうか。しかしレコードは田辺靖雄と梓みちよによって録音され、「こんにちは赤ちゃん」とのカップリングで1963年11月の発売になったんです。「こんにちは赤ちゃん」が1963年7月の今月の歌だったんですね。「いつもの小道で」がA面の場合もあれば、B面の場合もあったようです。
天気●赤ちゃんのほうが大ヒットしたんですね。しょっちゅう、テレビで流れてた気がします。
憲武●赤ちゃんは大ヒットですね。でも僕はあの曲、あまり好きではないのです。
天気●私も苦手、というかイヤですよ。この分野。茶化したり悪く言ったりできない、不可侵の禁忌領域ですから、赤ん坊・母親関係は。
憲武●「いつもの小道で」を初めて知ったのは、TBSラジオの「土曜ワイド」でしたか、「六輔七転八倒」でしたか、「永六輔 その新世界」でしたか、永六輔自身による歌唱ででした。一回聞いて、いい曲だなぁと思いました。レコードを探しましたが、なかなか見つからなくて、「中村八大作品集」が出て、ようやく巡り会えたという訳だ。訳です。
天気●永六輔の歌唱? 聴いたことがない気がします。レア?
憲武●そうですか? わりと番組内で歌ってましたっけが。「夢であいましょう」とか。あれ?永六輔バージョンのレコードだったんですかね?「生きているということは」はよく聴きました。永六輔はそれこそ沢山の詞を書いてますが、ほとんど素晴らしい歌詞です。永六輔って、顔はああでもロマンティストなんですね。7月7日の星祭に亡くなってますから。
(最終回まで、あと733夜)
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