2023-02-19

10句作品 佐々木紺 声と暴力



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声と暴力 佐々木紺

雪晴れて棘よく刺さるからだの端(は)

逃げてきてまたあやとりの果ての川

はね橋の弧の外(と)を冬の鷗かな

押し花のさいごの呼吸しぐれゆく

うつしよのあかるさばかり紙雛

ぜんぶ空耳 蝶がうたつてゐるときの

雑音をかさね無音へ花曇

陽炎や老人になる息子たち

引用をながし春暮を堰き止める

 

書けば遺るこの瞳孔をねぢあやめ



 

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