【中嶋憲武✕西原天気の音楽千夜一夜】シーナ＆ロケッツ「ユー・リアリー・ガット・ミー」

【中嶋憲武✕西原天気の音楽千夜一夜】

シーナ＆ロケッツ「ユー・リアリー・ガット・ミー」

天気●鮎川誠が1月29日に亡くなりました。77歳。このコーナーで追悼が続きます。

天気●シーナ＆ロケッツといえば「レモンティー」（なぜかシングル化されていないんですね）。あるいはポップな「ユー・メイ・ドリーム」（1978年）ですが、あえて、カヴァーの「ユー・リアリー・ガット・ミー」を選んだのは、私がキンクス・ファンということもあって。

憲武●キンクスの「ユー・リアリー・ガット・ミー」好きです。ヴァン・ヘイレンのはちょっと、って感じです。

天気●テレビ番組の登場のとき、「バットマン」のテーマが流れるんですが、これ、おそらく意味があって、キンクスがこの曲を「ライブ・アット・ケルヴィン・ホール」（1968年）でカヴァーしてるんです。番組側の演出か鮎川誠の提案か、そこはわかりませんが、キンクスファンは、ここ「ほほー」となったところ。

憲武●その感じ、わかります。にやにやしちゃいますね。

天気●ギタリスト鮎川誠といえば黒のレスポール。若いときに手に入れたのを何十年も使い続けているそうです。ギタリストは、プロはもちろん、そうでなくても何本かギターを持ちたがる、弾きたがる。そうじゃなくて、この1本で一生ロックンロールする（普段使いは別に持ってるにしてもね）。そこだけでも、かっこいい。

憲武●ジミー・ペイジのサンバーストもいいですが、鮎川誠の黒のレスポールはもう、鮎川誠の音そのものになってますよね。1969年製というのも、「ロック」って感じでいいです。音がデカイところもいい。

天気●プレイは、いわゆるパワーコード中心で、直球です。音色もエフェクター等の加工はほとんど感じられす、自然のディトーション（歪み）。ちょっと洒落て言えばオールドスクールを貫いた。私はそれほどファンではなく、この種の音楽をたくさん聴いてきたわけではないですが、「ロックは、やっぱコレ」感はよくわかります。

憲武●鮎川誠が客演したYMOの2作目のアルバム「ソリッド・ステイト・サヴァイバー」などを聴いていても、余計なことはしてなくて、「ジャーン」と弾いた音がカッコいいんです。

天気●ヴォーカルのシーナが2015年に亡くなったあとも、鮎川誠は演奏活動を続けていて、昨年もライブをたくさんこなした。亡くなる直前まで旺盛にギターを弾き続けた。かっこいいです。

（最終回まで、あと724夜）