【中嶋憲武×西原天気の音楽千夜一夜】
ドゥービー・ブラザーズ「What a Fool Believes」
憲武●ブラザーズのつくバンドやユニットって、そこそこ多い印象があります。ブレッカー・ブラザーズ、オールマン・ブラザーズ・バンド、ブラザーズ・ジョンソン、オズモンド・ブラザーズ、ブルース・ブラザーズなどですか。わが国でも大事マンブラザーズバンド、バブルガム・ブラザーズなどありますね。という訳でドゥービー・ブラザーズ「What a Fool Believes」です。
憲武●「ある愚か者の場合」という邦題がついてます。
天気●いつもの、邦題という悪癖。
憲武●大学の学祭などで軽音楽部にガンガン演奏される曲ですね。立冬の頃という印象があります。なので僕的には、この曲の季感は晩秋から初冬です。
天気●わかります。趣味でバンドを演る人が好む曲。私がやってる60代バンドでも候補曲として上がりました。結局、まだやってないですが、和音の構成音や進行が洗練、転調もあって、アマチュアからすると、「演奏してる!」という感じが味わえるのかも。
憲武●なるほど。この曲は1978年のアルバム「Minute by Minute」に収録されてまして、ケニー・ロギンスとマイケル・マクドナルドの共作曲です。
天気●この曲もさらにバンドがよくやった、あるいはギターやる人が一度は弾いてみる「Long Train Runnin'」が1973年ですから、人気が確立されて以降の曲ですね。
憲武●「Long Train Runnin'」はイントロのギターコード、やってみたくなるんでしょうね。「What a Fool Blieves」は最初のフレーズから意味の取りにくい歌詞です。男女の恋愛の意識のすれ違いみたいなことを歌ってるようです。愚か者は男性のことなんでしょうね。「What had yet to be created once in her life」のところは、マイケル・マクドナルドが韻を強調するように歌ってるので、印象的です。
天気●恋する人はみんな愚か、ってことですね。大昔から。
憲武●ドゥービー・ブラザーズって、ウエストコーストのバンドで、中学生の頃、ウエストコースト・ロックがシーンを席巻、古い言い方で恐縮、してましたけど、「軟弱」とか思って、ハードなものしか聴いてなかったんです。
天気●私は、この手の甲高い男性ボーカルがダメで、イーグルスなどもまったく聴かなかったです。
憲武●僕もジャーニー、ブライアン・アダムスとかダメですね。でも、マイケル・マクドナルドは許容範囲だったんでしょうね。ああ、えーと中学の頃ですね。そんなある日、よく通ってた地元のレコード屋のお兄さんに「ドゥービー、いいよ」って聞いて、アルバム一枚買ったんですが、それほどグッと来ませんでした。アメリカンロックってまったく興味なかったですからね。からっと乾いてるんで。
天気●同じ白人ロックでも、東海岸とかブリティッシュとかのほうが肌に合ったんでしょうね。
憲武●そうですね。しかしながら、途中から路線を変更してAOR、その頃はAORって呼び方はされてなかったと思いますが、AOR寄りになってからポツポツ聴きました。
天気●ロック要素が希薄になってから、ということですね。それなら、この曲はぴったりです。
憲武●この歳になって、アメリカンロック、ちゃんと聴いてみようと思う今日この頃です。
(最終回まで、あと675夜)
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