【中嶋憲武×西原天気の音楽千夜一夜】
マーヴィン・ゲイとタミ・テレル「Ain't Nothing Like The Real Thing」
天気●ここで何度か取り上げたマーヴィン・ゲイ。後期の代表曲「What's Going On」のイメージが定着している感がありますが、前期のアイドル的な歌唱もなかなか良くて、タミ・テレルとのデュエット・アルバム「You're All I Need」(1968)から「Ain't Nothing Like The Real Thing」。
天気●いかにもハンサムな青年が、かわいらしい女性歌手とデュエット。溌剌とした歌唱で微笑ましい。
憲武●タミ・テレルは好きな歌い手です。と言ってもベスト盤しか持ってないんですが。夭折してますよね、確か。
天気●1970年に24歳で亡くなってますね。曲を書いたのは、こちらはパーマネントなデュエットとして活躍した Ashford & Simpson(Nickolas AshfordとValerie Simpson)。こっちも歌ってるんじゃないかと探してみると、1982年のステージが見つかりました。
しっとりとしたテンポで、ちょっとオトナな仕上がりです。
憲武●このテンポもいいですね。80年代っぽい。この頃の「ソリッド」っていう曲は印象に残ってます。
天気●●当時のモータウンは曲が良いのはもちろん、音やアレンジが大好きで、表現が難しいのでしょうが、キュートとゴージャスが両立している。そこに男女デュットが乗っかるわけですから、たまりません。
憲武●一聴、すぐにそれとわかりますよね。豪華できらびやかな感じ。モータウン・サウンドと言われる所以です。
天気●問題意識や音楽的成熟に目覚めたあとの「What's Going On」も素晴らしいのですが、ファンの歓声の中で恋を歌い上げる時代のマーヴィン・ゲイも貴重です。ま、歌は、最初から巧いしね。
(最終回まで、あと666夜)
0 comments:
コメントを投稿