2024-04-14

小笠原鳥類 『吉岡実を読め!』を書きました

『吉岡実を読め!』を書きました

小笠原鳥類


本ができましたので、宣伝します。

小笠原鳥類『吉岡実を読め!』ライトバース出版、2024年3月31日発行、458ページ、税込3,480円。

『吉岡実全詩集』(筑摩書房、1996)と、吉岡実句集『奴草』(書肆山田、2003)を読んで、去年夏(2023年8月)から約半年、書きました。全詩集の、すべての詩、1つ1つについて、長さは1つ1つ違う文ですが、書いています。

「静物」「僧侶」などの、アンソロジーで読める詩だけではなくて、私がほとんど読んでいなかった詩についても。〈全部を読む〉というルールで書くことが、たくさんの知らなかったことを知ることができて、おもしろいのでした。読んでくださる人が、どう思うのか、わからないですが。

今、書店に吉岡実の本が、新本では、(思潮社の現代詩文庫『吉岡実詩集』『続・吉岡実詩集』も、あまり)見つからないようですし、古本も、高いものが多いようです。でも、読んでいて、おもしろいですので、書店にあって、読むことができると、いいと思います。

学校、教科書で詩を読むことが多いようですので、〈詩は正しいことが書いてある〉〈いいことが書いてある〉と、思われてしまうのかもしれません。でも、吉岡実は正しいことや、いいことを書いていなくて、おもしろいこと、好きなことだけを書いています。正しいこと、いいことを読もうとすると、そのようなことが書かれていないから、〈難しい〉と思ってしまう。

文章を書くときに、つまらないと思う部分であっても、説明するときに書くことがあるのですが、しかし、吉岡実の詩は、つまらない部分(文、単語、文字)は書かなくて、おもしろいと思ったことだけを書くので、すっきりと読める文章には、なっていません。わからなくても、おもしろいと思える、好きになることができる詩です。

『吉岡実を読め!』という本で、吉岡実の詩が、すべて好きである、とは言いませんでしたが、でも、最初から最後まで、いやにならずに書くことができました。吉岡実が亡くなった1990年のあとの、今の詩についても、書いています。〈むかしはよかった。今は……〉ということは言っていません。今の詩も、いいぞ、ということを言っています。

題名について。中山康樹『ディランを聴け‼』(講談社文庫、2004)が、そのときまでのボブ・ディランの、公式に発表されていた録音の「全582曲」の、すべてについて書いている本でした。おもしろい文章ですし、吉岡実を読むときに、中山さんが言っているアイデアを、生かすことが、できた(のであれば、いいなあ)と思っています。

題名は「読め!」でしたが、読んでいただけると、うれしいです。




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