2024-04-21

【中嶋憲武×西原天気の音楽千夜一夜】猫「地下鉄にのって」

【中嶋憲武×西原天気の音楽千夜一夜】
猫「地下鉄にのって」


憲武●動物とか生き物系の名前のバンドって、結構あると思いますが、猫で「地下鉄にのって」。

 

憲武●桜が散って、なんとなく物憂いような今の季節にぴったりのような曲かと思います。この曲は作詞が岡本おさみ、作曲吉田拓郎です。1972年頃の曲だと思います。猫のアルバムやシングル買ったことないんです。

天気●この曲、なんとなく憶えてます。

憲武●70年代に新聞広告で見かけた通販で「フォーク・ロック大全集」的なヴァリアスアーチスツのLP10枚組買ってもらって、その中に入ってたと思います。

天気●10枚! すごい。セット売り、よくありましたが、歌謡曲や演歌だけじゃなく「フォーク・ロック」もあったんですね。

憲武●「映画音楽大全集」とか「ポピュラー・ラテン大全集」などもありました。それと当時はラジオの深夜放送などで、この曲がよくかかって耳馴染みになりました。なんかこう、幸せな気分になれる曲なんですよ。

天気●深夜ラジオ=フォークという時代、ありましたね。フォーク歌手のラジオ番組も多かったし。

憲武●ありました。猫のメンバーはボーカルの田口清、この人はやはり「フォーク・ロック大全集」の中にソロとしての楽曲「ルーレット」が入っていて、歌声に惹かれました。のちにダウン・ダウン・ブギウギ・バンドに参加するベーシストの新井武士、ザ・リガニーズに在籍していた常富喜雄などがいました。もともとはよしだたくろうのバックバンドです。

天気●だから、よしだたくろうが曲を書いて、プロデュースしてるんですね。

憲武●一説によると、コンサート前の楽屋で猫のメンバーの前で、即興で出来たって聞いてます。当時は「ねえきみ」と始まる歌詞が斬新だったと思います。歌詞の中に出てくる二人は友達以上恋人未満という感じでしょうか。銀座あたりで映画を観て、新宿へ行く途中なんですね。当時の地下鉄はうるさかったんですよ。

天気●そうそう、曲を聴いてて、それを思った。会話が聞こえにくいほどうるさかったんだなと。鉄道も進歩してますね。

憲武●丸の内線の出てくる曲って、椎名林檎の「丸の内サディスティック」と、ほかにもあるんでしょうか。井上陽水もあったかな。この「地下鉄にのって」が嚆矢なんでしょうか。その辺もよくわかりませんが、丸の内線で発車時にメロディを使うとか、そんなようなことないでしょうかね。


(最終回まで、あと665夜)

0 comments: