後記 ◆ 福田若之
演劇や映画や音楽を鑑賞していて、しばらくしてから、ああ、あれが終わりだったのか、となることはそれほどない。小説なんかに至っては、残りのページ数や余白の取りかたのおかげで、終わりを見逃すことの方が難しい。
そろそろ終わりかな、ああ、あれが最後の一発だったのか――そんなふうに終わるということが、花火というものの独特の余韻につながっている気がします。
逆に考えると、花火それ自体によって、この光と音で今年の花火大会は終わりです、と伝えることは、おそらくとても難しいことなのでしょう。あらかじめ約束された合図のようなものがあれば、もちろん違うのでしょうけれども。
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それではまた、次の日曜日にお会いしましょう。
no.901/2024-7-28 profile
■中嶋憲武 なかじま・のりたけ
1960年生まれ。「炎環」「豆の木」2013年週俳eブックス「日曜のサンデー」2018年 第四回攝津幸彦記念賞・優秀賞受賞。2019年 第0句集「祝日たちのために(港の人)」山岸由佳とのコラボレーションによるwebサイト「とれもろ」
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