【中嶋憲武×西原天気の音楽千夜一夜】
よしだたくろう「ペニーレインでバーボン」
憲武●お酒が飲めないので、今ってお酒が美味しい時期かどうか分かりませんが、この曲を聴いた中学生の頃は、バーボンを飲んでみたいと思ってました。よしだたくろう「ペニーレインでバーボン」。
憲武●はい、この曲はアルバム『今はまだ人生を語らず』(1974)に収録されてます。名盤と言われてるアルバムです。この曲の歌詞の「つんぼ桟敷」が引っかかって、誰に引っかかったんだか知らないんですけど、永らく発売中止になっていたアルバムです。
天気●「買い物ブギ」は同じ禁止語の部分を消音したのかな? そう処理してましたが、これは歌ってますね。
憲武●はっきりと歌ってますね。この曲の魅力は、吉田拓郎の叫びでしょうね。叫びが歌になっている。ロックですね。当時はずいぶん歌詞に感銘を受けてました。「気持ちの悪い政治家ども、なるほどそうだ」とか。「陽気に生きて行くことがなんだかみっともなくもなるよね、なるほどそうだ」とか。
天気●聴いていると叫びは昔のことで、現在は厭世的、自虐的なんですかね。酒の力を借りるとか。
憲武●現在は無力さを感じているということですかね。なんかこう、説得力のある歌い方なんですよね。声質でしょうか。ギターの音色もいいんですが、誰が演奏してるのか、アルバムがどっか行ってしまって、プレイヤーがわからんのです。
天気●ガチャガチャした感じのバンド・サウンドがアメリカン・ロックで、嫌いじゃないです。ギターの音色がフェンダー系で、その意味でもアメリカン。
憲武●ペニーレインという店は、近年リニューアルされたそうですが、その前に一回閉店してまして、閉店するはるか前、学生の頃でしたか一回行ったことあります。一緒に行った友人は隣にあったライムライトという店の方が好きだと言ってました。あれ? ライムライトに入って、ペニーレインには入らなかったのかな? 忘れましたがどっちだったんでしょう?
天気●調べてみると、フォーライフ・レコードの人の店なんですね。当時、相当、売上に貢献したんだろうなあ、と思います。この歌。
憲武●そうでしょうね。このPVの女の子たちと罪袋先生のダンス、微妙に揃ってないように見えたりしてグッとくるんですが、吉田拓郎のシャウトもグッと来るものがあります。同じアルバムのなかのタイトル曲「人生を語らず」のシャウトもグッと来てます。来てます。
天気●「人生を語らず」という物言いがすでに、人生、語っちゃってますけどね。《「余計なことは言はぬ」は余計蜆汁 瀬戸正洋》式に。
憲武●どうせ力などなくて酒の力も借りられない僕は、らんちゃん(三毛猫)の力でも借りましょうか。
天気●猫の手を借りる?
憲武●キャッと驚くタメゴ〜〜ロ〜〜、はっはっはっ。なに?
(最終回まで、あと639夜)
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