【中嶋憲武×西原天気の音楽千夜一夜】
デニー・レイン「I Would Only Smile」
憲武●ウイングス の「バンド・オン・ザ・ラン」というアルバムは、今でもよく聴くアルバムなのですが、そういえばデニー・レインってどうしてるんだろう?と思い、ググってみたところ、なんと、Oh,boy,昨年の12月5日に亡くなってたんですね。迂闊でした。死因は新型コロナの後遺症による間質性肺疾患だそうです。79歳でした。そういう訳でいまさらですが、デニー・レイン「I Would Only Smile」。
憲武●伸びやかな感じのメロディと煌びやかなギターのフレーズが印象的な曲です。初期のウイングス のライブでしばしば演奏されてました。1973年には録音されてましたが、発表はずっとあとの1980年です。ウイングス のアウトテイクとしてずっと眠ってたんですね。
天気●ウィングスって、ポール・マッカトニー以外がボーカルをとることがあるんですね。知らんかった。
憲武●はい取ってます。他にもジミー・マッカロックの「メディシン・ジャー」最高っすよ。「I would only smile」の収録されているアルバム「Japanese Tears(1980)」は、ウイングス が初来日の1980年1月にポール・マッカートニーが220グラムのマリファナ所持で逮捕されたその拘留期間に製作が開始されたアルバムです。
天気●ありましたね、公演中止。いま聞くと、けっこうな量です。
憲武●アルバムタイトル曲の「Japanese Tears」はポール逮捕、公演中止で悲しむ日本の少女たちのことをテーマにした楽曲で、中国風のイントロで始まるチャンプルーなエキゾティックな曲です。
天気●日本と中国の区別がつかない人が多いみたい、欧米は。ヴァン・ダイク・パークスの「Tokyo Rose」も中国っぽかった。
憲武●欧米人の日本に対する「まとめてあの辺」的な誤解の感覚、チープで好きですけどね。アルバムは、ポール・マッカートニーはもちろん、デニー・シーウェル、ヘンリー・マックロウなどの初期のウイングス のメンバーも参加してまして、いい曲が揃ってます。ポール・マッカートニーはデニー・レインから相当の影響を受けてると思いますね。共作の曲も「Mull of Kintyre」など多数あります。
天気●デニー・レーンといえば、ウィングスの人とアタマしかなかったのですが、ムーディー・ブルースにいた人なんですね。
憲武●そうなんですね。ビートルズ時代からポールとは親交があったようです。ウイングス は結成当初からメンバーの出入りの激しかったバンドですが、最初から最後までポールの愛妻リンダと共に、ポールに寄り添ってました。三人で写っているジャケット、PVも多いです。とうとうポールひとりになってしまいましたね。
(最終回まで、あと641夜)
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