【中嶋憲武×西原天気の音楽千夜一夜】
クインシー・ジョーンズ「Razzamatass」
憲武●先日クインシー・ジョーンズ(1933年3月14日 - 2024年11月3日)が亡くなりまして、急遽、この曲にしました。Quincy Jones「Razzamatass」(1981)。
憲武●クインシー・ジョーンズはそれほど熱心に聴いていた訳ではないのですが、友人との会話や雑誌などをみていると、目に耳に飛び込んでくる名前であり続けたので、アルバムも2、3枚買いましたかね。
天気●私は、大好き、と言っていいかな。中期以降、つまりソウル、R&B色の強くなってからのものをかなりの数、買いました。たくさんアルバムがあるし、ハズレがない。
憲武●今回取り上げるに当たって、『フォー・レナ・アンド・レニー』でも『鬼警部アイアンサイド』でも『続・夜の大捜査線』でも『ソウル・ボサ・ノヴァ』でも『スタッフ・ライク・ザット』でもよかったのですが、アルバム『愛のコリーダ』(1981)の中のこの曲「Razzamatass」にしました。
天気●1曲となると難しいですよね。私はヴォーカルもので「Things Could Be Worse For Me」ですかね。『I Heard That!!』(1976)の2曲目。インスト的なものだと、『You've Got It Bad Girl』 (1973)に入ってる「Summer in the City」かな。
憲武●うーん、いいですね。これは聴いたことなかったです。『愛のコリーダ』というアルバムは、すべての曲が素晴らしく、当時ヘビロテしてました。中でもこの「Razzamatass」が一番好きでした。
天気●バックのミュージシャンを調べてみると、ピアノのハービー・ハンコック、ギターのスティーヴ・ルカサー、サックスのアーニー・ワッツあたりが有名どころ。ベーシストのクレジットがないので、きっとベース・キーボードですね、この重厚なベースラインは。
憲武●ベーシストのクレジットがないんですよね。ベース・キーボードでしたか。クインシー・ジョーンズはジャズミュージシャンというより、後年は大プロデューサーとしての知名度が高い人ですね。僕が知ったのはマイケル・ジャクソンの『オフ・ザ・ウォール』(1979)でしたか。それとも『鬼警部アイアンサイド』でしたか、はっきりしません。
天気●お茶の間では、1985年のチャリティー企画「We Are The World」。プロデューサーとして、メイキング映像に出てるやつですかね。
憲武●ありましたね。「Razzamatass」のヴォーカルはパティ・オースティンですが、同年にソロ・アルバム『Every Home Should Have One』(1981)を出していて「Do You Love Me?」がヒットしてましたかね。その年の学祭の前夜祭と後夜祭は軽音が、「愛のコリーダ」と「Do You Love Me?」やってました。
天気●「Do You Love Me?」。これ、流行りましたね。どこでも流れてた感じ。でも、その頃はあまり聴いていなくて、パティ・オースティンは1枚目の『End Of A Rainbow』(1976)と2枚目の『Havana Candy』(1977)を当時ほんといっぱい繰り返し聴きました。
憲武●その2枚は好きです。「Razzamatass」は「with a little bit of Razzamatass」と歌う部分が早口言葉みたいで印象的です。雨がさーっと降るような歌い方。しかし「Razza」と、zのあとにaが入るのが不思議です。
天気●なるほど、「razzmatass」だと辞書にも載ってるんですね。
憲武●訛りなんでしょうか。この曲はサウンド的には『オフ・ザ・ウォール』ですね。
天気●制作年が近い。
憲武●音作りがゴージャス志向の人だったと思います。「愛のコリーダ」も、チャス・ジャンケルの「愛のコリーダ」オリジナルよりも、幾分か華麗な雰囲気のあるサウンドになってます。
(最終回まで、あと637夜)
0 comments:
コメントを投稿