【2024年週俳のオススメ記事 1-3月】
まだまだたいへん
上田信治
第872号は、例年通り、新年詠からスタート。「週俳」当番の5人も入れて、130人のご参加をいただきました。後記に「たいへんな年明けになりました」と書きましたが、そのまんま、たいへんな一年だったなと。
第873号の、■ブラジル俳句留学記〔23〕
「悲観主義から生まれる希望:日本の少子化と世界の俳句を結ぶ私の価値観」(中矢温)。高齢の日本人移住者たちとの会話。さんざん日本の少子化傾向を心配され(あなたががんばって産む気はないのか等と言われ)私は万事悲観的なんですよと応答する筆者の、俳句の未来を見つめた言葉。
で、これからも世界を一人歩きしていくだろう俳句に対して、私は希望を見出したいんです。私が死ぬことは確かだとして、その先に日本の俳句コミュニティが、まるでブラジルにおける日本語の俳人コミュニティのように小さくなる将来が来て、そのときにも私が愛した俳句は、形や様相を変えながら、きっと名前はそのままに、世界のどこかで愛されているんだろうなという未来への確信があるんです。私はその世界の様相を思うと、安堵のような温かい気持ちになれるんですね。あ、勿論その小さくなっていくだろう日本国内における日本語の俳句コミュニティにも、私は温かいものを感じます。決して憐憫のようなものではなく、です。第873号には、■「屋根裏バル 鱗kokera」主人・野村茶鳥さんインタビュー。 「句集を読む」には、岡田由季句集『中くらゐの町』の鑑賞2本も。
第876号、【週俳12月の俳句を読む】■「としか言っていない」(二村典子)で、上田句「この空かこの青空のふゆのそら」について詳細に書いていただいて、たいへんありがたかったです(自分の話ですいません)。
第877号には、■成分表91「鬼滅」(上田信治)
第878号、シリーズ【俳句のあたらしい作り方】は「はとバス吟行」(千野千佳)。筆者の千野さんが、一人ではとバスに乗って俳句を作ります。
第880号 には、【句集を読む】■英語の力佐藤文香句集『菊は雪』を読む(小豆嶋勇誓)
第883号には、岩田奎さんの10句作品「ミャクミャク」。これは、実験作というか問題作。
10句作品として、1-3月は、瀬間陽子さん、堀切克洋さん、森尾ようこさん、浅川芳直さん、宇佐美友海さん、若林哲哉さんにご寄稿いただきました。作品へのリンクは「週刊俳句2024年アンソロジー 34名34句」をご確認ください。
年の瀬になってみると、人類前途多難と、まだまだたいへんだなと思わせることばかりなのですが、とりあえず、生きていきましょう(チェーホフみたいな台詞)。
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