2024-12-22

【中嶋憲武×西原天気の音楽千夜一夜】A Certain Ratio「Waterline」

【中嶋憲武×西原天気の音楽千夜一夜】
A Certain Ratio「Waterline」


憲武●寒いですね。ということで表面温度の低い音楽を。A Certain Ratioで「Waterline」(1981)です。

 

憲武●ア・サートゥン・レイシオって面白いバンド名ですね。そのネーミングが、そのままその音楽を示唆してるような感じもあります。つまりぶっきらぼうで無愛想な感じといいますか。

天気●まず「ア」を冠するのがめずらしい。「一定の割合」というバンド名は、たしかにぶっきらぼう。ニューウェーヴ味があります。

憲武●バンド名はブライアン・イーノの楽曲「the true wheel」の歌詞「Looking for a certain ratio」から取られてます。で、表面温度は低いんですが、一聴そのベースラインが頭から離れなくなるような中毒性もありますね。

天気●スラップ奏法含みのベース。ファンクだとアガるのに、こちらはハーモニーだとか、ちょっと粗い(ヘタな)せいもあるのかグルーヴがなく(狙いのはず)、アガるのと逆に、陰鬱・鬱屈・苛立ちのかんじ。

憲武●その陰鬱・鬱屈・苛立ちの感じが適度に効いていて、ちょっこし快感もあります。このグループは、1978年にマンチェスターのファクトリー・レコードからデビューしました。ファクトリー・レコードといえば代表的なインディーズレーベルで、ドゥルッティ・コラム、オーケストラル・マヌーヴァー・イン・ザ・ダーク、ニュー・オーダーといった人たちが在籍してました。

天気●クレプスキュール・レコードから出たコンピレーションアルバム「From Brussels with Love」にも入っていました。

憲武●この曲は12インチシングルと、あとはそのコンピレーションアルバムにしか入っていないようで、現在では生産していないのか、入手がなかなか困難となっています。音源はYouTubeしかないといった状況で、DJの人たちは困ることだろうと思います。

天気●「YouTube」が重宝される状況が、良い悪いは別にして、ますます進むのでしょう。現にいま、さきほど挙げた「From Brussels with Love」を頭から流しながらタイピングしてます。

憲武●ああ、フルアルバムが上がってるんですね。この曲を知ったのは、1981年頃でしたか、NHK-FM、サウンドストリートという番組で坂本龍一がかけたからです。それでこのバンドを知ったという人、結構多いと思います。その回の放送、どこかに音源があれば聴いてみたいですね。 

(最終回まで、あと631夜)

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