2024-12-08

【中嶋憲武×西原天気の音楽千夜一夜】John Lennon「You Can't Catch Me」

【中嶋憲武×西原天気の音楽千夜一夜】
John Lennon「You Can't Catch Me」


憲武●こんにちは。12月8日、日曜日です。12月8日といえば、開戦日、針供養、臘八会、童貞聖マリア無原罪の御孕りの祝日といろいろある訳ですが、やはりジョン・レノンの命日ということで、John Lennon「You Can't Catch Me」です。

 

憲武●この曲は『Rock'n'Roll』(1975)に収録されてます。タイトル通り、ロックンロールばかりのアルバムですね。

天気●唯一(?)のカヴァー・アルバム。好きで、よく聴きました。

憲武●この「You Can't Catch Me」は、チャック・ベリーの曲のカヴァーです。オリジナルはこちらです。聴き比べるとわかりますが、ジョン・レノンのカヴァーはだいぶ「Come Together」に寄せてますね。

天気●よく似ています。とくにAメロ。

憲武●「オールドフラットトップがやって来る」という歌詞の一説も入ってますし。「アビイ・ロード」のレコーディングの記憶としてポール・マッカートニーはこう言ってます。「ジョンが最初に元気のいい曲を持って来た。それがチャック・ベリーの"ユー・キャント・キャッチ・ミー"に似ていることを僕が指摘した。ジョンもそのことを認識していて、『あの曲からかけ離れたものにしないとな』と、僕が押し寄せるような圧倒的な感じにしようと提案した」(ポール・マッカートニー『メニー・イヤーズ・フロム・ナウ 1998年』1998/ロッキング・オン)と。

天気●テンポの工夫でしょうね。少なくとも雰囲気は「かけ離れた」。

憲武●雰囲気はまったく違います。それで「Come Together」はチャック・ベリーの楽曲の出版権を持つモリス・レヴィによって盗作として訴えられます。そのゴタゴタの妥結策として、「You Can't Catch Me」をアルバムに入れるということだったと思います。ですからわりと確信的に「Come Together」に寄せてるのではないかと思います。

天気●印税で、仁義を果たす、借りを返す、みたいな。

憲武●そうですね。この時期(1973~1975)のジョン・レノンは私生活もオノ・ヨーコと別居して、させられて(?)、個人秘書のメイ・パンと同棲するなど、ゴタゴタしていたようです。

天気●このアルバムから次の『ダブル・ファンタジー』(1980)まで5年があくのですね。

憲武●はい。結句、ヨーコとは縒りが戻って、1976年にはショーンが生まれて、ジョンは主夫になってしまいますね。1978年に3人で日本を訪れています。東銀座の松竹セントラルでショーンに「スターウォーズ」を観せている間、ジョンとヨーコは「樹の花」という喫茶店に入ります。ここはその後ジョンとヨーコの訪れた喫茶店として有名になり、12月8日は開店から閉店まで、ビートルズ及びジョン・レノンの楽曲を流していますが、今日は日曜日でお休みです。また来年にでも行きますか。 

(最終回まで、あと633夜)

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