【中嶋憲武×西原天気の音楽千夜一夜】
ロッド・スチュワート「マギー・メイ」
天気●今回はロッド・スチュワートの大好きな曲、「マギー・メイ」(1971)を、後年のライブで。
天気●2004年発売のライヴアルバム「One Night Only: Rod Stewart Live At Royal Albert Hall」収録なんですが、黄色のジャケットが日本一似合う人です。
憲武●好きなカラーなんでしょうね。よく黄色を着てるような気がします。ファーストアルバムが黄色でしたし。ところで今年に入って、ジェフ・ベック・グループ時代のものからロッド・スチュワートを聴き直してみようと思ってたところだったんすよ。
天気●奇遇。歌詞は、マギーという女性の家に入り浸りになってしまっていた十代の男の子が、もうそろそろ学校や家に戻らないといけない、さようなら、といった内容で、なかなかぐっと来る青春ソングです。
憲武●タイトルはビートルズも歌ってる、リヴァプールの古い民謡に出て来る娼婦のことかと思ってましたが、まったく違ってました。
天気●「まったく違って」もないでしょう? 娼家とは言ってないけど、娼婦、あるいは娼婦的な魅力をもった女性にしか思えない。それに、イギリスでマギー・メイといえば、くだんの民謡で広く知られる登場人物のようですから。
憲武●そうですか。曲を書いた時に、やはり念頭にあったんですね。
天気●曲調はブリティッシュあるいはアイリッシュ・フォーク的。メジャーキー(長調)なのに泣かせる。当時から個人的に好きなタイプの曲です。
憲武●哀調がありますね。ロッド・スチュワートの声質によるところも大きいのではないかと。
天気●編曲的には、ほぼアコースティックななか、間奏のロン・ウッドによるエレキギター。シンプルなのに、最高の部類。十代の頃の友人の指摘ですが、それまでの歌唱を盛り上げず・盛り下げず。そこが間奏として素晴らしい。盛り上げて目立って、というソロが多いなか、さすがロン・ウッドというかんじです。ここは、オリジナルも聴いてもらったほうがいいかもしれません。
憲武●ごく自然に入ってきてますよね。
天気●あとは、前奏と後奏で目立つフラット・マンドリン。これが英国味いっぱいで、この曲には欠かせない部分です。
憲武●これ、すごく印象的なんですけど、これを弾いたレイ・ジャクソンという人のことはあまり伝わってなくて、21世紀になってから著作権問題でロッド・スチュワートを訴えてて、ちらっと名前を知った程度で。
天気●調べてみると、スタジオで弾いたフレーズに著作権を主張した、ということで、かなり無理筋です。結局、、訴訟までには至らなかったようですね。それともうひとつこのライヴならでは、ということで、後半「ガソリンアレー」(1970)の一節がはさまるところ、サーヴィス満点です。
(最終回まで、あと628夜)
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