2025-01-26

【中嶋憲武×西原天気の音楽千夜一夜】加藤登紀子「ひとり寝の子守唄」

【中嶋憲武×西原天気の音楽千夜一夜】
加藤登紀子「ひとり寝の子守唄」


憲武●寒い日が続いてまして、夜もお風呂で温まらないと、眠れないような日々です。そんな日々に思い出すのが、この曲です。加藤登紀子「ひとり寝の子守唄」。

 

憲武●この曲は、加藤登紀子作詞作曲で1969年9月にリリースされました。東京拘置所の獄中にいる全学連の恋人へ向けて書かれた曲と記憶してます。東大在学中に歌手デビューして、まもなく知り合った恋人です。

天気●藤本敏夫。のちに「大地を守る会」とか、農業分野に行った人ですよね。

憲武●そうですね。藤本敏夫とは1972年に獄中結婚して、これも話題になりました。

天気●はい、なんか、うっすら憶えてます。

憲武●この曲が流行った当時は小学低学年でしたが、「膝っ小僧がさむかろう」とか「テンジョのねずみ」とか「おなご」とかのフレーズが印象的で、なんかこう民話的な世界をイメージしてました。

天気●たしかに民話的。

憲武●「おなごを抱くように 温めておやりよ」のくだりは、意味がよくわからないながらも、暖かく柔らかいセンシュアルな印象を持ちました。

天気●小学生にも官能的でしたか。

憲武●それはもう、感じました。あの声で歌われるとね。加藤登紀子自身の弾くギターと、控えめなベース、ストリングスとヴァイオリンと出てきますが、中でもヴィブラフォンでしょうか? それと算盤を打ち付けるような音の楽器、なんて言うんでしょうね、そこが特徴的です。

天気●キハーダっていう馬の顎の骨から作る打楽器です。

憲武●キハーダ!検索しちまいました。北島三郎の「与作」でも使われてたんですね。藤本敏夫は2002年に他界、以後、再婚はせず今日まで歌い続けています。その存在が常に気になる歌手です。 

(最終回まで、あと627夜)

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