【中嶋憲武×西原天気の音楽千夜一夜】
ドリームズ・カム・トゥルー「決戦は金曜日」
憲武●日曜日ですが、DREAMS COME TRUE「決戦は金曜日」。
憲武●92年でしたか、このアルバムを買ったんです。タイトルは『The Swinging Star』(1992)です。「決戦は金曜日(作詞 吉田美和 作曲 中村正人)という曲が、どこで聴いたのか忘れてしまったんですが、耳について離れなくなって。懐かしいような、聴き覚えがあるような気もして。
天気●一時期、よく流れていたと思います。ドリカム。
憲武●全部聴いてみて、これが一番良かったんでしょうね。折に触れYouTubeで聴いている曲です。アルバムは買った時だけ聴いて、もう何十年も聴いてません。収録曲を改めて見てみましたが、朝ドラのテーマ曲に使われていた「晴れたらいいね」も収録されてたんですね。
天気●その曲もなんとなく憶えてる。
憲武●この楽曲は EW&Fの「Let's Groove」と Cheryl Lynn の「Got To Be Real」をベースにしてます。最後のトランペットのフレーズは、そのまま「Got To Be Real」で聴くことができます。
天気●管のリフは、「Let's Groove」にも似ていますよ。でも、全体になんか違う。材料はほぼそのまま持ってきているのに、身体が反応しない。で、YopuTube が関連動画として上げてきた「Let's Groove」とのリズムの比較の動画があったので、観てみると、なるほど、ノリが違うんだと。納得しました。
憲武●前と後ろのビートの違いなんですね。この「決戦は金曜日」はパクりというより、これらの曲に対するオマージュなのかなと思いもしますが。どうなんでしょうね。そしたらこんな記事が出てきました。最初から「パクり倒そうと思ってた」ようですね。なるほど、「晴れたらいいね」はバカラックっぽい。
天気●バカラック味はあんまり感じませんが、それはそれとして、下敷きにするのは、音楽でよくあることで、「パクリ」の要素のまったくない音楽はないんじゃないかと思います。ことばといっしょで、先人や過去の遺産の上にある。
憲武●絵画および映像についても、それは言えますね。それにしても吉田美和の肺活量すごいですね。まさにシェリル・リンという感じです。
天気●私は、むかしから、この人、江利チエミだなあ、と思ってるんです。ルックスや声質やら歌いっぷりが。
憲武●うーん、実写版「サザエさん」やってもらいますかね。パクリ倒すと聞くと、他にどんな曲を取り入れているのか、聴いてみたくなりました。「やりたい音、出したい音、アイデア」ではなくて、あの曲をパクってみたいという発想もあるんですね。
天気●好きなものの「影響」を受けたいという発想は自然なんじゃないですか。でも、インプットの多様さをそのまま自分のパフォーマンスにしていくと、幕の内弁当、あるいはデパートみたいになる。それはそれで愉しいですが、ある程度、絞ってほしい部分はありますね。一品料理、専門店のこだわりを聴きたい部分はあります。
憲武●なるほどなるほど。
(最終回まで、あと625夜)
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