2025-03-16

【中嶋憲武×西原天気の音楽千夜一夜】ヒデとロザンナ「ロンリー・ウーマン」

【中嶋憲武×西原天気の音楽千夜一夜】
ヒデとロザンナ「ロンリー・ウーマン」


天気●3月が節目の時期という話は、先週も憲武さんがしてました。この曲もちょっとそんな雰囲気。ヒデとロザンナ「ロンリー・ウーマン」(1979年3月)です。

 

天気●歌詞に春風が出てきますし、なにやら生活がガラッと変わる。赤だった信号が青になるし、きっと3月です。

憲武●竹内まりやの「戻っておいで・私の時間(1978)」、南沙織の「春の予感(1978)」なども思い出させてくれる曲ですね。なんかこうテイストが似ている気がします。

天気●「寝坊したのを誰かのせいにして、外国煙草に火をつける。今朝も食事を抜いたね♪」「ファッション雑誌めくる指でダイヤル回せばいいのに♪」登場する「ロンリー・ウーマン」は当時の都会っぽさを家事させる設定。ひとり暮らしで、第一線で仕事をしてる。いわゆるキャリアウーマンといった風情です。

憲武●当時、タイプライターがお洒落な小道具として楽曲にも映像にも使用頻度が高かったと記憶してますが、この曲にも出てきますね。

天気●70年代終わり、タイプライターを使う職場も個人も、もうあまりなかったと思いますが、「ワープロ叩く」じゃあ、歌詞にならない。そういえば、「ダイヤル」もすでに廃れてしまいました。どちらも詞/詩の語彙として寿命を永らえていた。と、それはともかく、作詞は三浦徳子(みうらよしこ)。松田聖子「チェリーブラッサム」「青い珊瑚礁」、八神純子「みずいろの雨」「パープルタウン」など。この曲のようにストーリー性の高いものばかりではないようです。作曲はヒデ(出門英)。意外にもたくさんの作曲があります。

憲武●三浦徳子の楽曲、どれもヒットしてますね。「青い珊瑚礁」「みずいろの雨」は好きな曲です。作曲出門英と聞いて、びっくりした曲は多かったような気がします。

天気●音的には、シティポップ味たっぷりで、当時としてはとびきり洒落てました。軽やかで、ノリが細かくて、ノーザンソウル風と言えなくもない。歌詞の都会っぽさとサウンドがうまく合致しています。

憲武●都会っぽさと言えば、この曲に出てくる女性って、当時「翔んでる女」とか呼ばれてたと思います。そう呼ばれるのはエリカ・ジョングの「飛ぶのが怖い」が70年代中ごろにベストセラーとなっていた背景があるかと思われます。

天気●「翔んでる女」は1977年の流行語だったみたい。そういえば、こうした風情の女性像って、いまだに生き残っているのか、すでに絶滅したのか。よくわからないのですが、時代を感じさせる曲です。もう50年近く前なんですけどね。 

(最終回まで、あと620夜)

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