【中嶋憲武×西原天気の音楽千夜一夜】
メリー・ホプキン「Goodbye」
憲武●3月は卒業、年度変わりなど別れの季節ですね。いろいろな意味でMary Hopkinで「Goodbye」(1969)。
憲武●いつ聴いてもきれいな声です。この曲は1969年にシングル盤としてリリースされました。アップル・レコード第二弾ですね。アップルが自信を持って送り出した新人第一号です。
天気●デビュー曲の「悲しき天使(Those Were The Days)」(1968)が日本でも、エラく流行りました。メアリー・ポピンズと紛らわしいなあ、と思ったように憶えています。
憲武●映画『メアリー・ポピンズ』(1965)も当時公開されてヒットしてましたからね。「グッドバイ」のレコードにはレノン=マッカートニーとクレジットされてますが、作詞作曲はポール・マッカートニーです。随所にポール・マッカートニーらしさが顔を覗かせてますが、Andで始まる歌詞のメロディがポールっぽいと思います。
天気●そう言われれば、そんなかんじです。「ハロー・グッバイ」(1967)の亜種のような気もしてきました。
憲武●いずれにしても、ポールのグッバイは明るい感じです。あかるいサヨナラ。
天気●なるほど、そこが共通点、作家性なのですね。
憲武●「グッドバイ」は「悲しき天使」とはガラッと変わった感じの曲です。発売当時、僕はこの曲を知らなくて、「悲しき天使」は流行ってましたので聞いて知ってましたが、「グッドバイ」は知らなかったんです。後年、海賊盤でポールが歌ってるデモ音源の方で知りました。「アビイ・ロード50周年記念デラックス・エディション」にデモ音源が収録されましたので、いまや公式となってるわけですが。
天気●当時よりも、後年によく流れていたかもですね。
憲武●この当時は、きれいな声で歌う女性のフォーク歌手が目立ちましたね。ジョーン・バエズとかPPM(ピーター・ポール・アンド・マリー)とか。従姉がアコースティックギターを弾いていて、よくジョーン・バエズみたいな声で歌ってました。
天気●素晴らしい従姉さんです。
憲武●そしてこの「グッドバイ」にはリチャード・ヒューソン・オーケストラも参加してまして、リチャード・ヒューソン・オーケストラと言えば、あの『小さな恋のメロディ』のサントラを担当してるんですね。
天気●『小さな恋のメロディ』といえば、ビー・ジーズばかりが目立ちますが、インスト部分が、このオーケストラなんですね。
憲武●そうなんです。「Fのロマンス・テーマ」はいい曲です。メリー・ホプキンは、ポール・マッカートニーにあれこれ細かく指示されて、いやんなっちゃったのか、2曲しか組んでないんですね。トニー・ヴィスコンティとはとてもうまく行って、結婚までしてる。うーん、相性ってねー。
(最終回まで、あと621夜)
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