2025-07-20

岸田祐子〔ビール俳句〕明日は明日の

〔ビール俳句〕
明日は明日の
★MAHOWBREW/Juliet/Imperial Gose w/ Balck cherry, Lime, Okinawan Cinnamon/アルコール度数10%

岸田祐子


数年前、同じ美容師さんに担当してもらっているという縁で、当時大学一年生だった女の子と知り合いになった。家が近所ということもあって、彼女が卒業するまでの間、毎年、年末に顔を会わせる機会があった。彼女が二十歳になった年に、「私、もうお酒飲めるようになったんです。だけど、ビールはちょっと苦くって」と話してくれたことがあった。

ビールのむ女子大生と思はるゝ 千原叡子

この句を読んだ時、最初に思い浮かんだのが、彼女のことだった。だからだと思うけれど、ビールを一口飲んで、「わ、苦いっ!」みたいな顔をした女の子が見えた。この句は、女子大生らしい人が一人なのか、誰かと一緒なのか、どんな場所にいるのかなどの説明はなにもない。ただ、一緒にいた年上の誰かに、「ちょっと飲んでみる?」と言われて、口にしたビールだとしたら、寿司屋とか、回るテーブルの中華料理屋などが似合う。そうであれば、この句のビールは、日本の大手ビール会社のラガーだろう。多くの人に好まれているはずだが、女子大生には苦かった。だから今回は、女子大生、いやいや、女子大生だけでなく、苦さが苦手でビールを敬遠している方にお勧めのビールを考えたい。

MAHOWBREWは沖縄、那覇のブルワリー。ここのJulietはとってもとっても美味しかった。スタイルはImperial Gose。ゴーゼとはドイツの伝統的なスタイルで塩を加えて乳酸菌で発酵させたもの。酸味と塩味があって、蒸し暑い日は特に良い。Imperialは、アルコール度数が高めのビールのことを示す。その他、Julietはブラックチェリー、ライム、そして沖縄の香辛料、カラキ(沖縄ニッケイ)を使っているとのこと。りんごは使われていないのに、アップルパイみたいな味がするのはカラキの香りがあるからだろう。色も赤くて可愛いし、なにより全く苦くない。ビールはスタイルごとに味わいが違う。コーヒーとオレンジジュースくらい違う。だから、今日飲んだ一杯が好みに合わなかったとしても、明日は明日のビールがある。



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