2025-07-27

岸田祐子〔ビール俳句〕別れには

〔ビール俳句〕
別れには
★海岸醸造/Umibouzu’s wrath/Imperial Stout/アルコール度数11%

岸田祐子


告別式の後に、お昼ご飯を食べて帰ろうということになって、斎場から5分ほどの町の蕎麦屋に入った。それぞれに親しくしている方々だったけれど、この組み合わせで食事するのは初めてで、普段とは違う集まりの後という感じがする。午後から仕事に戻る人もいたのだけれど、一人が「飲むよね?」と言って、瓶ビールを1本頼んだ。お蕎麦屋さんの小さいグラスに注ぎ分けて、献杯して飲むビールはほろ苦い。この句のビールもこんな感じだろうか。

別れにはいつも明日ありビールあり 今井千鶴子

その日は、たまたま有給休暇を取っていて、仕事に戻る必要はなかった。家からそう遠くない斎場だったので、歩いて帰ることにしてみんなと別れる。家に向かってぷらぷら歩きながら、15時から営業するビアパブがあったなと思い出し、ビールを飲みに行くことにした。途中の公園で俳句を作って時間をつぶし、開店と同時に入店する。

3杯飲んで、最後の1杯に選んだビールが、海岸醸造の Umibouzu's wrath だ。英語で「強い」という意味を持つ Stout というスタイルは、黒くなるまで焙煎された大麦を使って上面発酵で醸造されるビールのこと。Umibouzu's wrath はさらに Imperial とついているから、スタウトの中でも特にアルコール度数が強いことがわかる。事実、11%でワインなみのアルコール度数だ。ただ、このビールに関してはそこまでアルコールの強さを感じなかった。苦みが出るほど濃く煮出した麦茶の感じと、プルーンやレーズンのようなドライフルーツの甘さが奥の方にある。飲んでいると、ふいに目頭が熱くなったので、慌てて店を出た。また来よう。



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