【中嶋憲武×西原天気の音楽千夜一夜】
スタイル・カウンシル「Shout To The Top」
天気●一時期、よく聴いていた(いわゆるヘヴィロテで部屋に流していた)バンドのひとつが、スタイル・カウンシル。「Shout To The Top」(1984)です。
天気●スタイル・カウンシルがよく売れていた頃、友だちが「何がやりたいのかわからない。幕の内弁当」と、少々揶揄的だったのを憶えていますが、バリエーションの幅を含めて好きでした。そのなかで、こういうノーザンソウル的なものが主成分だと思うのですが、そこが気持ちよかった。
憲武●はい、このバンドは僕もよく聴きました。アルバム『カフェ・ブリュ』(1984)はジャケットデザイン含めて好きなアルバムです。ちょうど大学4年から社会へ出る頃によく聴きました。たまらなく、アーベインな感じでしょうか。
天気●曲はコード2つの繰り返し。サビになると、別の2つの繰り返し。なのに、単調さは微塵も感じない。繰り返しが、聞き手のダンサブルな精神に心地よく訴えて、いわゆるグルーヴを醸す。ソウル音楽の醍醐味です。
憲武●繰り返しなんですけどね。それをあまり感じさせません。逆にノッてしまう。
天気●アレンジでは、生ピアノの音も気持ちいい。よく転がる感じ。
憲武●生ピアノの音、効いてますよね。
天気●このバンド、1983年から1990年と活動期間は短い。スタジオ・アルバムもたった5枚です。でも、80年代後半、たしかな存在感を持っていたし、日本的な事情でいえば、バブル期の気分とよくマッチして、その意味で、「あの時代」を思い出させてくれるバンドです、私にとっては。
(最終回まで、あと600夜)
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