【中嶋憲武×西原天気の音楽千夜一夜】
ブロンディ「Sunday Girl」
憲武●先週のプリテンダーズに続きまして、ほぼ同時代のバンドでブロンディの「Sunday Girl」です。
憲武●ブロンディという、いかにもアメリカなネーミングで、デビューの頃すぐ記憶に残りました。同じ名前のアメリカのコミックがありましたので。デビューアルバム『Blondie』(1976)の邦題が「妖女ブロンディ」つータイトルで、ちょうどその頃倉橋由美子の「妖女のように」つー文庫を読んでいましたので、いろいろな意味でなんかこう印象深いと申しますか。
天気●妖女、ですか。担当者がそう思ったんですね、見た目を。
憲武●まあ、そういうことなんでしょうね。で、この「Sunday Girl」(1979)は、大ヒットの「Heart of Glass」の次のシングルです。当時はニュー・ウェイブというカテゴリーで売られてましたが、いま聴くとポップなロックンロールという感じです。たしかにコスチュームはニュー・ウェイブっぽいんですが。
天気●終盤のシンセ(?)がニュー・ウェイブっぽいかも。メロディーは、どこがどうということなく、聞き覚えがあるようなないような。そのへん、ポップの一要件ですね。
憲武●途中で一音上がるところがあるんですが、そこが好きですね。デボラ・ハリーの声質がよく活かされてると思います。
天気●地味な転調。ふつう後半に盛り上げるのに転調したりするのですが、1分経たないうちに一音上がる。こっちのキーが声に合ってるのかな? 導入的に一音下がったところからスタートした感じ。
憲武●「Heart of Glass」と逆の展開ですね。今は、動画が簡単に見られる時代ですが、当時はそうじゃなくて、ここはどういうふうに歌ってるんだろうとか、歌ってる姿などを想像しながら聴いてたんですね。
天気●むかしはMTV。たまに深夜のテレビでやっていたのを観るくらいでしたもんね。
憲武●はい。ピーター・バラカンとか小林克也とか、よく見てました。今でもこの曲はときどき聴いていまして、なぜか気分が軽く、明るくなる曲なんですね。半年に一度くらい下北沢のとある場所で、DJの真似事してますが、今度かけてみようと思ってます。
(最終回まで、あと597夜)
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