【中嶋憲武×西原天気の音楽千夜一夜】
ルー・ロウルズ「You'll Never Find Another Love Like Mine」
憲武●どこで聞いたのか、ある曲が近頃頭の中でループしていて、離れないんですね。最近はセブンイレブンで、70年代のソウルなどをインストゥルメンタルで店内に流していて、この曲が流れたんです。「おっ、珍しいところで珍しい曲」と思って、窓ガラスの外を見れば道路工事の赤い灯がちらちら。妙にその光景と合うなあ、秋だからかなあと思って赤い灯を眺めていた訳です。というわけでルー・ロウルズ「You'll Never Find Another Love Like Mine」(1976)。
憲武●秋はやはり、こういったバラードが聴きたくなります。
天気●暑さの疲れを癒やしたくなる感じかも。ちょっと気分を鎮静したい?
憲武●それもあるのかもしれません。一聴ひたすら低くていい声で「僕のような男は二度と見つけられないよ」と歌っていて、女性コーラスもそれに拍車をかけて「そうよそうよ」と歌っています。この掛け合いの感じ、いいです。
天気●別れを切り出されたときの文言。未練がありすぎて、ちょっと悲しくなってしまいます。「さみしくてきっと恋しくなるよ、ボクのことが♪」。女性コーラスが繰り返しますが、それが「おめえこそな」と読めて、よけいに悲しい。
憲武●この曲は全米ビルボードチャートで最高位になりました。その頃のヒットチャートを賑わせていたアーティストは、ビー・ジーズ、ウイングス 、KC&ザ・サンシャインバンド、ワイルド・チェリー、ジョージ・ベンソン等です。1976年ですね。
天気●ルー・ロウルズは、さきほども出た「低い声」。これがほんと良くてね。ちなみに私はこの曲じゃなくて「Lady Love」(1978)が大好きなんですけどね。
憲武●「Lady Love」、明るくていい雰囲気です。「You'll Never Find Another Love Like Mine」の邦題は「別れたくないのに」と、歌詞に比べて、ちょっとおセンチな感じです。「別れ」というキーワードを入れると売れるというジンクスでもあるのでしょうか。その頃のわが邦のヒットチャートには「22才の別れ」という曲がランクインしてます。
天気●失恋の歌は共感を呼びやすいのかも。意地悪く言えば、他人の不幸を聴いてるんですけどね。
憲武●共感を呼びやすいんでしょうかね。帰りにセブンイレブンに寄ってみますかね。
天気●はい。まろやか6Pチーズを買ってください。それはそうと、最初の話題に戻るんですが、店内でインストを流してたんなら、この曲もインスト・ヴァージョンが?
憲武●セブンイレブンのオリジナルBGMらしいです。演奏者はわかりませんが。BGMがいいから買いに行こう! って、なるんですかね。知りませんが。
(最終回まで、あと593夜)
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