【中嶋憲武×西原天気の音楽千夜一夜】
トッド・ラングレン「I Saw The Light」
憲武●先日、ひさびさに徹夜しまして、朝日に両手を広げたら、「アレ?この感じどっかで見たことある」と思ったらトッド・ラングレンのアルバム『サムシング/エニシング?』(1972)の中ジャケでした。というわけで、Todd Rundgren「I Saw The Light」。
憲武●この写真ですね。まさに。
天気●レコード時代の紙ジャケの醍醐味ですね。見開きでバーンとビジュアルがあった。
憲武●レッド・ツェッペリンのヒプノシスのものとか衝撃でした。この写真見てると、「やったー! 仕上げたぜ!」みたいな至極快活な気分になりがちです。
天気●徹夜明けな感じの写真ですね。
憲武●この曲は、いまさら申すまでもなく超有名曲で、いろんな人がカヴァーもしていて、何も言うことないような気もしますが、これ、トッド・ラングレン全部一人でやってるんですよね。
天気●当時、トッド・ラングレンにはその情報が必ず付いてきました。マルチ・プレイヤーで一人で全部つくっちゃうという。
憲武●1972年当時の宅録というと、ポール・マッカートニーの「マッカートニー(1970)」があります。この「サムシング/エニシング?」は音を聴いてると、まず右側のタムが印象的で、相当離れてると思える左側のハイハットと、マラカスのような楽器、あとチーンと鳴るトライアングルなど、いろいろと面白いんです。
天気●アルバムの1曲目ですよね。バスタム(?)とベースの同期が印象的なイントロで、スライド・ギターが入る。とても好きな曲でした
憲武●歌詞は「昨夜、きみの瞳にひかりがみえた/一緒に歩いているときみへの愛情に気づいた」みたいなことですが、ここで思い浮かぶのが、ビートルズの「ナイト・ビフォー」の「Love was in your eyes(Ah, the night before)」ていうとこです。比べてみると相手の態度が逆で面白いです。
天気●欧米の人は、瞳の中にいろいろ見ちゃうんですかね。「Rainbow in your eyes」(Leon & Mary Russell)とか。
憲武●サザン・オール・スターズの曲で「瞳の中にレインボウ」がありますが、そこから借りたんでしょうか。トッド・ラングレンはユートピアの頃から何回も来日していて、バブルの頃でしたか、友人が地下鉄丸の内線の中で見かけて、顔の長さでトッド本人と気づいたと言ってました。
天気●長いですよね。
憲武●はい、長いです。現在ハワイのカウアイに住んでいて、かつてプロデュースしたことのあるホール&オーツのダリル・ホールと自宅で「I Saw The Light」をやってます。
天気●体重増で、顔の下半分に肉がつき、サングラスも相俟って、どこかの悪徳社長みたいです。
憲武●貫禄あります。声が「サムシング/エニシング?」の頃は繊細な印象でしたけど、この動画では太く力強いものになってますが、井上陽水も若い頃と現在ではそんな違いがありますね。経験とか自信が声質を変えるんでしょうか。
(最終回まで、あと573夜)

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