後記 ● 村越 敦
フジファブリックの「若者のすべて」という歌を聞いています。この歌は夏の終わりを感じさせる歌詞がなんともたまらないのですが、そういえば、暦の上では秋になったもののまだまだ夏の色が濃いこの時期の実感をどう俳句として立ち上がらせるか、ということが最近ぼんやりと気になっています。
たぶん方法としては大別して2つで、秋という広い場所から、過ぎ去っていく夏を眺めるやり方、もしくは徐々にその形を失っていく夏という氷の上に立って、これから訪れる秋に思いを馳せるやり方のどちらかだろうと。
そしてまた、晩夏/初秋のさまざまな季語がそのどちらのスタンスに拠るものかということを峻別するのもむつかしいことだろうなぁ、などと思いつつ。
いずれにせよこういった込み入ったことを感じさせず、しかし筋がきちんと通っているなという意味で、かなり成功していると思う作品は、
嗚呼夏のやうな飛行機水澄めり 佐藤文香
で、この俳句を思い出しては、なんとかこの気分を言い当てられないかと悶々とする、そんな日々です。
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今週もまたみなさまのお陰で、バラエティーに富んだ号となりました。
特に、関悦史さんが聞き手となった松山巌さんのインタビューは大変読み応えがあり、必見です。
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それではまた、次の日曜日にお会いしましょう。
no.279 /2012-8-26 profile
■石原明 いしはら・あきら
1946年愛媛県生まれ。静岡県在住。無所属。主にブログ、SNSで発表。「逸」寄稿。句集「ハイド氏の庭」。
■関悦史 せき・えつし
1969年、茨城生まれ。第1回芝不器男俳句新人賞城戸朱理奨励賞、第11回俳句界評論賞受賞。「豈」同人。共著『新撰21』(邑書林)。URL:http://etushinoheya.web.
■松尾清隆 まつお・きよたか
1977年神奈川県生まれ。「松の花」同人。
■小川春休 おがわ・しゅんきゅう
1976年、広島生まれ。1998年「童子」入会。2009年「澤」入会。現在「童子」同人、「澤」会員。句集『銀の泡』。サイト「ハルヤスミ web site」
■野口 裕 のぐち・ゆたか
1952年兵庫県尼崎市生まれ。二人誌「五七五定型」(小池正博・野口裕)完結しました。最終号は品切れですが、第一号から第四号までは残部あります。希望の方は、yutakanoguti@mail.goo.ne.jp まで。進呈します。サイト「野口家のホーム ページ」
■西原天気 さいばら・てんき
1955年生まれ。「月天」同人。句集に『人名句集チャーリーさん』(2005年・私家版)、『けむり』(2011年10月・西田書店)。ブログ「俳句的日常」 twitter
2012-08-26
後記+プロフィール279
■村越 敦 むらこし・あつし
1990(平成2)年、東京都国立市生まれ。現在大学4年、東大俳句会幹事。●
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