【週俳8月の俳句を読む】
※以下、ご理解いただける方のみ閲覧いただけます。
松本千鶴
松本千鶴
食パンの中に空洞朝ぐもり 谷口摩耶
ちっちゃい頃、ミニチュアな世界を空想するのが好きだった。夜、自分が眠っている間はシルバニアの人形は動いているんじゃないかと思ったし、お菓子のパッケージに描かれてる小人や動物は自分が見ていないところでポーズを変えているに違いないと信じていた。この食パンの空洞の中にも小さな世界があって、きっと誰かが住んでるに違いない。(ニヤリ
世 ω ξ ぅ レ£ レヽ ゃ Tょ σ 。 /ヽ〃 ナ ナ /ヽo フ ェ ヵゞ 女子 (キ 。 福田若之
あーもうこんな文字使うジョシもいないんだろうなあ。絵文字もデコメもすっかり面倒くさくなっちゃって、親の方がギャルばりにメールをデコってくるもんな。「バナナパフェって普通www」「私、銭湯のこと超詳しいから!!」とかいう会話の方が、最近のファミレスじゃ聞こえてくるもんな。そうか、今が21世紀なんだな。
舗装路にペンキぶちまけ炎昼の 村越 敦
そうか、あの眩しくてうざったいヤツは炎昼のペンキだったのね!しかもあなたがぶちまけてたのね、むらこしくん!!でも、ペンキなら許せちゃうかなあ…アートだもんなあ…。でも他人に迷惑かけてないところが上品よね、さすが開成出身。(※偏見)案外、都会の住宅街とか道路沿いには、こういう「よいこの吐き溜め」がちらほらうごめいてるのかもね。
テレビつけ遺影と麦茶ひよいと移す 前北かおる
人の死なんてそんなもんだよなーと思いつつも、自分が死んだらこのくらい日常的に扱ってほしい。だって死ぬ前は空気みたいな存在だったわけだし、いきなり仰々しく居場所を確保されたって困る。どうでもいいゴシップ叩いてるワイドショーでも見ながら、「んなわけないじゃん(笑)」とかいう独り言を、亡霊になって聞いてる方がずっと居心地良いよ。
船頭はバイクで帰り雲の峰 松本てふこ
こういう職業の人たちって、本当最後の最後で現実に引き戻すよね。いや、そこが良いとこなんですけど。それがまたいやに爽やかでさ、走り去っていく姿が、青い空とモコモコした入道雲にばっちり合っちゃうわけですよ。(バイクは個人的に黄色のディオで。)でも、こういうリアルな部分があるから、私たちって夢の世界から現実にゆっくり帰れるのかも。実を言うと、私の父親も船頭やってます。いや、バイクには乗らないけど。
用すます一つひとつと爽やかに 押野 裕
溜まってた仕事がトントン拍子に終わった時の快感って、この上ないよね。私が主人公の漫画があるなら、その瞬間のコマをキラキラのスクリーントーンでべたべたに貼りたいくらいだ。ポイントは、「一つひとつ」というところ。大量の仕事が一気に終わった時の爽快感も捨てがたいけど、一個一個きちんと終わらせていく方がデキる女子っぽくていいでしょ?うふ。
牡丹やあなたはいつもややこしい 石原 明
全く本当にそうだ、何かあるならはっきり言えばいいし、やりたいことがあるなら勝手にすればいいのに。私もほっとけばいいんだけど、なんかねえ…ほっとけないんだよね。っていうのはやっぱり可愛げがあるからなんだよな。磨けば光るし、ちょっと手助けしてやれば見違える。ってん?私の周りの人間ってそういうのばっかじゃないか?え、私も?
■福田若之 さよなら、二十世紀。さよなら。 30句
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■前北かおる 深悼 津垣武男 10句 ≫読む
■村越 敦 いきなりに 10句 ≫読む
■押野 裕 爽やかに 10句 ≫読む
■松本てふこ 帰社セズ 25句 ≫読む
■石原 明 人類忌 10句 ≫読む
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