【週俳10月の俳句を読む】
UZA
栗山 心
秋雲や愉快な人といふ評価 佐藤りえ
mixiの「友人からの紹介文」という欄で、他人から見た自分像をある程度知ることが出来る。これはあまり流行らないらしく、私自身書いたこともないし、書かれている割合も少ない。そもそもネット上の友人なんて、人に紹介するほど、良くは知らないのだ。
作者はどこかで、「愉快な人」という評価をされている。あまりにもザックリした、表面しか見られていないような評価に戸惑い、困惑する。自分の何を見て、愉快というのか、という若干の苛立ち。しかしその中にも、自分のことを見ていてくれた人がいる、という安堵感も感じられるのだ。
他にもの考へないで葡萄食む 佐藤りえ
美味しそうに、というより、無心になりたくて葡萄を食べている。何らかの思いを、とりあえず頭の片隅に置くために。洗って、剥いて、種があれば種を履き出して。食べることに集中するには、食べるのが簡単な、たとえば苺では駄目なのだ。
愛情のやうに重たい秋の繭 佐藤りえ
少しずつ人との距離を計りながら、慎重に生きていきたいのに、時々強引な愛に絡めとられてしまう。秋の繭は、大きさも小さく、数も少ないそうである。それなのに、やけに重く、欲しくないのに注がれる愛情のよう。愛はそもそも自分勝手で、ウザいものなのだ。
第285号 2012年10月7日
■忌日くん をととひの人体 10句 ≫読む
第286号 2012年10月14日
■佐藤りえ 愉快な人 10句 ≫読む
■手銭 誠 晩秋の机 10句 ≫読む
第287号 2012年10月21日
■草深昌子 露の間 10句 ≫読む
第288号 2012年10月28日
■飯島士朗 耳の穴 10句 ≫読む
第284号 2012年9月30日
■西原天気 俳風昆虫記〔夏の思ひ出篇〕 99句 ≫読む
2012-11-11
【週俳10月の俳句を読む】栗山心
登録:
コメントの投稿 (Atom)
0 comments:
コメントを投稿