【週俳11月の俳句を読む】
色のない世界
青葉 有
色のなきかほとなりたる時雨かな 森賀まり
秋の末から冬の初め頃に降ったり止んだりする雨のなか、外光が乏しいこともあり、顔が色の無い顔になる、という内容です。
私は「色のなき」という表現に惹かれました。
色の無い世界といえば、昔、「ベルリン・天使の詩」という映画がありました。
ヴィム・ベンダース監督の1987年の作品です。
この映画の中で主役の天使は、色のない世界を見ていました。
天使には、感情が無いので、世界には色が無いのです。
私は、この俳句からその天使からみている人々の様子を思い出しました。
天使が寄り添うことにより、何かを見出して生きていく市井の人々の様子でした。
最後、天使は人間となる望みを叶えられて、彼の見る世界は、劇的に変化しとても美しく映像に表現されていました。
久しぶりに、あの映画をもう一度観たい、と思ったのでした。
第290号2012年11月11日
■森賀まり 左手 10句 ≫読む
第291号2012年11月18日
■中嶋いづる 秋熟す 10句 ≫読む
■谷 雅子 雨の須賀川 10句 ≫読む
■石原ユキオ 狙撃 10句 ≫読む
第292号2012年11月25日
■矢野錆助 緑青日乗 10句 ≫読む
●
2012-12-09
【週俳11月の俳句を読む】青葉有
登録:
コメントの投稿 (Atom)
0 comments:
コメントを投稿