【週俳1月の俳句を読む】
眩しい
平井岳人
新年詠からいいなと思った句を。
初日差さっとダビデを羽交いせる 金原まさ子
どこかくすんだ灰色を持つ彫刻に初日が差し込むその白さは美しいものだろう。「ダビデ」、「羽交い」といった情感の世界を想像させる語によって、初日の清らかさがより一層際立つ。瞬間的な映像の美しさが印象に残る句だった。
いくたびか地名に見惚れ年賀状 小池康生
美しい地名は本当に美しい。一枚一枚年賀状をめくりながら、時折あらわれる美しい地名にその由来やかつて訪れた際の風景に思いを馳せているのだろう。そんな美しい地名との出会いをなせるのも人との出会いである。
初箒あまたの鳥が高く棲み 下坂速穂
空をゆく鳥という読みもあるかも知れないが、大樹にとまる鳥を詠んだものと捉えた。高くの一語で、鳥声の溢れる大樹に加えて晴れ晴れとした空も見えてくる。ときおり、空へと飛び立つものもいるだろう。掃くという行為は心を静める。そんな時の澄み切った感覚が伝わってきた。
初旅や鳥のとらへし魚光る 高柳克弘
旅に出ると眩しいと感じることが多い。見るものの新しさがそうさせるのだろう。そして、妙に記憶に残ったりする。作者にも鳥に捉えられた魚が見事な光を散らす様子を眺めていた記憶があるのだろうか。新年ながら、冬の冷たさがひしひしと伝わり、一人の旅の気がした。気負いのないフレーズが季語によって新鮮である。
最近、昼夜が逆転していて、光をあんまり感じないなーと思った。
第350号2014年1月5日
■新年詠 2014 ≫読む
第352号2014年1月19日
■佐怒賀正美 去年今年 10句 ≫読む
■川名将義 一枚の氷 10句 ≫読む
■小野あらた 戸袋 10句 ≫読む
第353号2014年1月26日
■玉田憲子 赤の突出 10句 ≫読む
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第352号2014年1月19日
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第353号2014年1月26日
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