【八田木枯の一句】
冬枯の庭におちつくわがこころ
西村麒麟
『八田木枯少年期句集』より。
冬枯の庭におちつくわがこころ 八田木枯
春や夏の庭には生命が溢れている。植物や動物、空の色や雲の形までそれぞれの季節を強く感じさせる。
それが、やや心に煩い、そういう日もある。
ならば、心やすらぐのは秋か冬かと考えると、秋はまだ案外様々な色があり、生き物も多い。ではやはり冬か。
暗い気持になりたいわけではない。ただ心を静かな状態にしたい、そういうのが落ち着く、そんな心理だろうか。
茶色や白、黒、もしくは無色を感じる冬枯の庭を眺めている。よくよく見るとかすかに生き物もいる。生か死かと分別するなら、やや死の世界に近い眺めだろう。
あー、落ち着く(心の声)。
八田木枯独特の美意識、「木枯好み」を探る原点のような句だ。
木枯青年はすでに十分渋い。晩年の木枯さんと変わらない詩心を持っている。美意識は貫いてこそ、その人の色が出る。
「あー、落ち着く」
を探り、味わえばいい。
2015-12-13
【八田木枯の一句】冬枯の庭におちつくわがこころ 西村麒麟
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