【八田木枯の一句】
草刈にもう朝の日の暑いほど
西村麒麟
『八田木枯少年期句集』より。
草刈にもう朝の日の暑いほど 八田木枯
よくある情景のよくわかる俳句だ。
面白くもなんともない草刈(草刈は季語だ、嬉しい、なんて言っている人は現実の世界にはいない)をしながら、朝なのにもう暑いやと太陽を見る。早く草刈を終えないと、さらにひどい暑さとなり、大変なことになるだろう。
ぎらぎらとした、少年の頃に見た夏の朝日は、どうしてだかいつまでも心に沁みついてしまうような気がする。
洗ひ髪身におぼえなき光ばかり 『汗馬楽鈔』(1988年)
洗い髪の句は代表句であるし、比べてしまうと草刈の句は随分と地味だ。
しかし、木枯さんにとっては、草刈の日の光もまた、忘れられないものであった気がする。
こちらの光と、あちらの光と。
光の記憶はいつまでも眩しい。
2016-05-08
【八田木枯の一句】 草刈にもう朝の日の暑いほど 西村麒麟
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