〔今週号の表紙〕
第509号 雪の田園
村田 篠
午前中、岡山駅から新幹線に乗車するときはきれいな青空が見えていたのだけれど、十数分後には雪景色になった。アナウンスによれば、降雪のため一時間あまりの遅延だという。気のせいでなく、車窓の景色がいつもよりゆっくりと過ぎてゆく。
おかげで、暖かい車内にいて雪の田園風景を楽しむ、という贅沢を味わうことになった。
写真は京都を過ぎてしばらく走ったあたり、関ヶ原付近だろうか。走り去る風景に向かって適当にシャッターを切ったうちの一枚だが、意図しなかったいろいろなものが写り込んでいる。狙ったらなかなかこうはいかないし、写真を撮らないと一瞬で過ぎてしまうから、これはもう、僥倖としか言えない風景だ。
何の変哲もない林も、雪を得ると、とたんに幻想的になる。
それなのに、定刻から一時間半遅れで東京駅に着いたとき、雪は影も形もなかった。あんなに雪景色を見たのに、結局雪には触れずじまいだ。
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