〔今週号の表紙〕
第510号 朽ち木
山中西放
山を歩いて巨樹・奇樹に出会うのは一つの楽しみであるが、想定を越えた樹に出会うのはもっと楽しい。
これは恐らく藤の朽ち木である。巻いていた親木は恐らく樹齢6~700年はあろうと思われる杉で在ろう。その杉が倒れ跡形もなく朽ち果てた後に巻き残り、枯れ果てた藤の姿と思われる。根元に年ごとに積もる枯れ葉が何とも美しく愛しい。
ここは鞍馬寺。山腹を奥の院へ下る境内の地形の厳しさはいまも鞍馬天狗伝説を彷彿させ、歩く者に牛若丸の修行を重ねる。嶺筋にむき出す木の根の絨毯、急峻な堅い斜面しがみつく樹木の原生のハーモニー。その凄い命の歴史のドラマに只立ち尽くすのみである。
下りきれば貴船川、貴船神社の参拝に長い列を作る若者の姿が今を語る。
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