2018-11-11

【週俳10月の俳句を読む】息遣い 藤井あかり

【週俳10月の俳句を読む】
息遣い

藤井あかり


星祭一筆箋に二行書き  中岡毅雄

星祭だから恋の句と読んでもよいし、一年に一度大切に思いを馳せるような相手を想像してもよい。

その頃の贈りものの、梨や桃に添えるシーンを思うのも美しい。

ごく短く伝えることがあったのかもしれないけれど、「二行書き」という言いさしからは三行目を思ってもよい。

さりげない挨拶などでまず二行ほどをさらっと書き、三行目からその相手だからこその内容に入るのかもしれない。

とはいえ、改まって便箋にしたためるのとはやはり違って、さらさらと書けることに変わりはない。

iの音が導く調べが、そんな筆致を思わせる。

いずれにもしても、二行書いてからほんの一呼吸置いてみた、その息遣いがそのまま、句の息遣いになっているようだ。


なつはづき 自転車で来る 10 読む
市川綿帽子 横浜 10 読む
今井  いぶかしき秋 10句 読む
中岡毅雄 底 紅 10句 読む
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