中嶋憲武✕西原天気の音楽千夜一夜
ドリス・トロイ「エイント・ザット・キュート」
ドリス・トロイ「エイント・ザット・キュート」
天気●前回、ジョージ・ハリスンのプロデュース曲だったので、今回もちょっと連続してみようかということで、ドリス・トロイ「エイント・ザット・キュート」です。
天気●アップル・レコードから1970年にリリースされたソウル歌手のアルバム。トロイ本人とジョージの共同プロデュース。その冒頭1曲目です。ドリス・トロイは60年代に活躍したシンガーで、ピアノを弾いて、曲も書くという人です。レコードは多くない模様。私はこの曲の入ったアルバムしか聴いたことがないです。
憲武●伸びがあって声量がスゴイ。バックの演奏にまったく負けてません。
天気●歌唱は、もろソウルというかR&Bなんですが、バックの音はその頃のビートルズ、というか英国っぽい。
憲武●もうほとんどブリティッシュロックですね。ロックミュージシャンのブラックミュージックへのアプローチってこうなるのかという。
天気●ギターの音色はジョージだと思うけど、ひょっとしたらエリック・クラプトンかも。エレクトリック・ピアノは音色からしてビリー・プレストン、映画『レット・イット・ビー』の屋上で弾いてた人。
憲武●間違いないです。ビリー・プレストン。
天気●どうせだから、パーソネルをWikipediaから引くと、
Doris Troy – vocals, piano, backing vocals
George Harrison – electric guitar
Klaus Voormann – bass
Ringo Starr – drums
Billy Preston – piano, organ, electric piano
Stephen Stills – electric guitar, piano, backing vocals
Peter Frampton – electric guitar
Alan White – drums
Eric Clapton – electric guitar
Delaney Bramlett – percussion
Bonnie Bramlett – percussion
Leon Russell – unspecified
Bobby Whitlock – unspecified
Jim Gordon – unspecified
Rita Coolidge – backing vocals
John Barham – string and brass arrangements
uncredited – horn section
クラウス・フォアマンというビートルズ関連でよく名前を見るベーシストが入ってます。
憲武●豪華なメンバーですね。ピーター・フランプトンやリタ・クーリッジなど、70年代中頃から80年代にかけて、大いに名声を博した人々です。
天気●あと、レオン・ラッセルやデラニー&ボニー・ブラムレットなど、米国南部の要素は、この曲からもひしひしと伝わります。
憲武●はい。スティーブン・スティルスもいます。ウエストコーストの香りもさらっと。
天気●米国のルーツ・ミュージックが、ロンドンのスタジオでアップル的な展開をしたと思うと、この1970年のアルバム、なかなか味わい深いんですよね。
(最終回まで、あと926夜)
(次回は中嶋憲武の推薦曲)
(次回は中嶋憲武の推薦曲)
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