2019-09-01

後記+プロフィール645

後記 ◆ 福田若之


僕の頭のなかで、クロゴキブリは、まごうかたなくゴキブリという位置づけなのですが、チャバネゴキブリは、どちらかというと、コオロギやらマツムシやら、そのへんの昆虫により近い位置づけなのだなあと、思ったことでした。つまり、カマドウマあたりにかなり近い。あくまでも、僕の頭のなかでのぼんやりした位置づけの話ですよ。

しかし、なぜなのか。もしかすると、子どものころに読んでいた、(正確な名前は思い出せないのだけれど)『野山の昆虫』というふうなタイトルの文庫サイズの小図鑑に、ウマオイとかノコギリクワガタとかキアゲハとかの写真と並んで、草の葉に乗っかったモリチャバネゴキブリの写真がナチュラルに載っていたことが、いまに響いているのかもしれません。

チャバネゴキブリ科チャバネゴキブリ属モリチャバネゴキブリがチャバネゴキブリ科チャバネゴキブリ属チャバネゴキブリとは別種のゴキブリだということは、そのころの僕の頭のなかにはなくて、森にいるチャバネゴキブリがモリチャバネゴキブリなのだろうと、思いこんでいました。へぇ、チャバネゴキブリというのは、雑木林や森に棲んでいる虫なんだ、と、そんなふうに思ったんですね。ごきぶりホイホイを、たとえば山小屋に仕掛ける場合があって、チャバネゴキブリというのはそういうところで捕まるゴキブリなのだろう、と、思ったんです。当時住んでいた家にはクロゴキブリしか出なかった。

そんな具合だから、いまでも家の廊下にチャバネゴキブリがいるのを見つけたりすることがあると、なんだか新鮮な心持ちがします。そろそろ鳴く虫の季節ですね。



それではまた、次の日曜日にお会いしましょう。


no.645/2019-9-1 profile 

■五十嵐秀彦 いがらし・ひでひこ
1956年生れ。札幌市在住。現代俳句協会理事、俳人協会会員、「藍生」会員、「雪華」
同人。俳句集団【itak】代表。第23回(2003年度)現代俳句評論賞。

■若林哲哉 わかばやし・てつや
1998年生まれ。俳句雑誌『奎』同人、「金沢大学俳句会」代表、俳句雑誌『WHAT』編集部。

■小池純代 こいけ・すみよ
1955年生まれ。歌集『雅族』(1991年)、『苔桃の酒』(1994年)、『梅園』(2002年)。

柴田千晶 しばた・ちあき
1960年横須賀生。「街」同人。句集『赤き毛皮』(金雀枝舎)、共著『超新撰21』『再読 波多野爽波』(どちらも邑書林)。詩集『生家へ』(思潮社)など。映画脚本「ひとりね」。https://twitter.com/hiniesta2010

中嶋憲武 なかじま・のりたけ
1994年、「炎環」入会とほぼ同時期に「豆の木」参加。2000年「炎環」同人。03年「炎環」退会。04年「炎環」入会。08年「炎環」同人。

西原天気 さいばら・てんき
1955年生まれ。句集に『人名句集チャーリーさん』(2005年・私家版)、『けむり』(2011年10月・西田書店)。笠井亞子と『はがきハイク』を不定期刊行。ブログ「俳句的日常」 twitter

岡田由季 おかだ・ゆき
1966年生まれ。東京出身、大阪在住。「炎環」「豆の木」所属。2007年第一回週刊俳句賞受賞。句集『犬の眉』(2014年・現代俳句協会)。ブログ 「道草俳句日記」

福田若之 ふくだ・わかゆき
1991年東京生まれ。「群青」、「オルガン」に参加。第一句集、『自生地』(東京四季出版、2017年)にて第6回与謝蕪村賞新人賞受賞。第二句集、『二つ折りにされた二枚の紙と二つの留め金からなる一冊の蝶』(私家版、2017年)。共著に『俳コレ』(邑書林、2011年)。

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