【700号記念】
フラット
生駒大祐
週刊俳句700号、おめでとうございます。
僕は第29号の「まるごと一巻THCプロデュース号」で最初に記事を載せてもらってから、時評を書かせてもらったり運営をやらせてもらったり、または一読者として読ませていただいたりしてきました。濃淡はありつつも長い間週刊俳句と関わらせていただいているので、この試みがここまで長く続いていることを嬉しく思います。
週刊俳句について僕が好きなところは、書き手と読み手がフラットに俳句について考えて記事を書いては読んでいるところで、それは総合誌や結社誌のスタンスとはやはり違う。記事を書く上で「俳句について語りたいことがある」以外のモチベーションがほぼない場であることは、非常に貴重でかつ大事なことだと思っています。俳句世間がインターネットに「気づいて」からあまり時間が経っていない時期にこの試みが設計されたのは今考えると本当に驚くべきことです。
第600号から第699号までで僕にとって印象深い記事としては、何と言っても第612号から始まった「空へゆく階段」の連載。なんというか本当に読んでいて背筋の伸びる記事たちで、それは僕が田中裕明を好きだからということももちろんあるのですが、「俳句という詩形がアンソロジーに向いているようです」と句集『花間一壺』のあとがきに記した作者の言葉を読むのにはこのスタイルが最も適切ではないかとも思うのです。連載の中で特に好きなのは宇佐美魚目が出て来る回で、第613号の「わが冬蔵さん」であったり第693号の「青賞 受賞のことば」の解題であったりです。俳句におけるなんらかの本質がここに書かれている気が強くします。
僕は腰を据えて長い評論を書いた経験があまりないので、もし構想がまとまったらぜひ週刊俳句に書かせていただきたいとこっそり思っています。今後とも引き続きよろしくお願いいたします。
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