2020-12-20

【中嶋憲武✕西原天気の音楽千夜一夜】ヨ・ラ・テンゴ「リトル・ホンダ」

【中嶋憲武✕西原天気の音楽千夜一夜】
ヨ・ラ・テンゴ「リトル・ホンダ」


天気●ホンダのCMで少し前からビーチ・ボーイズ「リトル・ホンダ」が流れています。やっとか? という感じです。なんでこの曲を使わなんだろうと思ってました(むかし使ったことがあるかもしれないけど)。でも、今回は、ビーチ・ボーイズのオリジナルじゃなくて、ヨ・ラ・テンゴ(YO LA TENGO)によるカヴァー。


天気●数年前にいちばん頻繁に部屋で流してたバンドです。8枚目のアルバム『I Can Hear The Heart Beating As One』(1997年)からの1曲。なげやりな歌唱がたまらなくいいです。オリジナルはマイク・ラヴが陽気に、ちょっとこっちが引いてしまうくらい陽気に歌うのですが、こっちは引きこもり型のロックンロール。

憲武●引きこもってますねー。控えめなヴォーカルが心地いいですね。

天気●伴奏はシンプル。ドラムはほぼスネアとバスドラとハイハットだけの基本型で。節目でスネアのおかず(フィルイン)が入るだけ。ベースはルート音の連打。ギターはパンクっぽい粗いディストーションの音色で3コードだけ。なのに、聴いていると、高揚する。

憲武●確かにそうです。なんでしょうね、この高揚感。グルーブってやつでしょうか。

天気●こういうのって、シンプルさがいちばんの美点です。ギターは、右手の指2本だけで押さえられるパワーコード。楽器を持ったことのない人間でバンドやろう、ってなって、メンバーが楽器を決めて少し練習すれば、ロックンロールは出来ます。つまり、どういうことかというと、ロックンロールは最高! ってことです。


(最終回まで、あと826夜)
(次回は中嶋憲武の推薦曲)

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