【中嶋憲武✕西原天気の音楽千夜一夜】ノーバシーズ「Pretty Old Man」

【中嶋憲武✕西原天気の音楽千夜一夜】

ノーバシーズ「Pretty Old Man」

憲武●先週が「fat man」でしたので、今週は「old man」です。No Busesで「Pretty Old Man」。

 

憲武●「可愛いお爺ちゃん」というタイトルですね。そんな感じはまったくないんですが。「ノーバシーズ」という日本の現役大学生のバンドです。

天気●バスの複数形？　バスがないんだ。

憲武●そう、バスがないんです。このMVが2019年ですから、今でも大学生なのかな。だとすると老成してる感あります。冒頭、カセットテープの再生ボタン、ガシャっと押して、デモテープを聴くという演習ですね。

天気●半世紀前のロックバンドみたいなおもむき。ポップミュージックを見ていると、歴史は繰り返すというのがよくわかります。

憲武●咳を3回して、ガシャっと押す。この冒頭からリズムがよくて、乗せられてしまいます。「ガシャっ」というのは僕の脳内の音で、押す動きと、曲の最初の音が被さってるわけですが。

天気●最近、ラジカセを買いまして、その「ガシャ」というのをひさしぶりに体感しましたよ。ICレコーダーの「ピッ」よりも、やっぱり「ガシャ」がいいです。

憲武●押した時のボタンの重い感じがいいんです。MVの中で、いきなり脚を組んだり、踊り出したり、キュートです。むかしの日本のロックバンドは、日本語をいかにロックのリズムに乗せるか？　という大命題に悩んでましたが、最初からさらりと英語で歌ってるのが、今のバンドなんですね。

天気●演奏とか歌唱はレイジーなかんじですね、英国ロックっぽい音色。

憲武●ツイッターを覗いてみると、最近は五人で活動しているようで、5月1日に渋谷o-nestでライブがある模様です。気に入ったひとはぜひ。 

（最終回まで、あと811夜）
（次回は西原天気の推薦曲）